見出し画像

『言バトン No.265 ヨモツヒラサカにいた姫神』 by HANZAWA on 2月 20, 2015 • 00:01

ある夫婦が、道のまんなかで言い争っていた。

その道を、ヨモツヒラサカという。

あの世とこの世を結ぶ道だ。

そこで、

すでに死んで黄泉の国にいようとする妻と、

妻を「この世」に連れ戻したい夫が喧嘩をしていたのだ。

ひとりの姫神が現れた。

彼女が夫に「何か」をささやくと、

喧嘩はしずまり、妻と夫はそれぞれの世界に戻っていったという。

姫神の名は、

日本書紀によると、菊理姫(くくりひめ)というとか。

諍いをおさめる、ささやき。

大声で「弾劾」するのではなく、

きっぱりと「裁く」のでもなく、

ただ、ささやく。

この世界の争いを止めるのはパワフルなヒーローよりも、

ささやくヒロインなんじゃないかと、そんなことを思わせる姫、菊理。

不思議なことに、彼女が「何を」ささやいたのか、

日本書紀では伏せられている。

明日は、ヨモツヒラサカにいた姫神の「み」

取材、執筆のためにつかわせていただきます。