精神科医がみるヒプノシスマイク

人気声優たちがラップバトルを繰り広げて話題になったヒプノシスマイク。

これで、メンタル?というと繋がらないかもしれませんが、私はこの”ラップ”というものに焦点を当てようと思います。

ラップは元々、不平・不満を音に乗せてぶちまけるようなイメージです。
皆さんは、普段イライラしたり、何か感情が揺さぶられる時、どうやって対処していますか?

中には、態度に出したり、物に当たってしまったり、なかなか上手く感情がコントロールできないという人がいるのではないでしょうか。

ラップは、防衛機制の昇華に当たる行動だと考えています。

防衛機制とは、何か危険や困難に直面した時、受け入れがたい苦痛・状況にさらされた場合に、それによる不安や体験を減弱させるために無意識に作用する心理的なメカニズムのことです。

自分が意図しないことにどう対処しようかってことですね。

これは、いろいろなパターンがあります。
例えば、

●抑圧
欲求不満や不安を無意識に抑え込んで忘れようとする。
合理化
最もらしい理屈や理由をつけて正当化しようとする。
逃避
困難な状況から逃れようとする。状況から逃避する場を設ける。現実を忘れようと放棄したりする。
退行
赤ちゃん返り。幼児期など、現時点の発達の前段階に逆戻りする。

といった感じで、これは時にもよりますし、人によってどの行動をしやすいかの特徴はバラバラです。
その中でも、昇華はすごく良い防衛機制の一つ。

●昇華
社会的に承認されない欲求を文化的・社会的に望ましい価値あるものへ置き換える。

世間への不満などを、歌にのせることで、みんなで一つの文化を作り上げたのがラップです。
ラップは、ライムやフロウを考えたり、フリースタイルになれば即興性が必要なでかなり頭を使います。もう芸術ですよね。
不満を不満のままにしたり、人に害を与えるような行動にするのではなく、歌にして価値あるものにする。

皆さんが何か不満を感じた時、どう対処しているんだろうって少し考えてみてください。ラップを…とまでは難しいかもしれませんが、他のことに没頭してみるのは一つの良い方法かもしれませんよ。

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