精神科医からみるタイガーアンドバニー2



大人気アニメが10年の時を経て帰ってきました。
タイガーアンドバニー2!

シーズン1では、タイガーとバーナビーだけがバディを組んでいましたが、シーズン2では全員にバディ制度が組まれ、それぞれ2人組で戦います。
主要の敵も2人組。

タイバニ1と違うのは、もちろん

個で戦うこととチームで戦うこと

スポーツメンタルを行なっていても、個人戦と団体戦では全然違う。

私は小中学生の時、テニス部に所属していました。
シングルスとダブルス、もちろんコートの大きさなどの違いもあるので、メンタルだけではありませんが、この2つに向かう準備は相当違うなっていう印象が今でも残っています。
当たり前ですが、シングルスは、基本自己完結でいいんです。前回のnoteでセルフコンパッションについて話しました。あるがままの自分を受け入れるということ。シングルスは、自分に対するこれをすれば良い。自分を知って自分の長所を伸ばし、改善点を潰していく。

しかし、ダブルスでは難易度が上がります。

セルフコンパッションをした後、それを相手に知る必要があります。
ここで、言語化することの大切さが出てくるわけです。

今の自分の状態、特徴、メンタルから体調まで、相手のことを知らないと息のあったプレーはできません。
日常生活についても、たとえば少し調子が悪い日。それを相手に伝えなければ、「今日集中力全然足りないじゃん!」と相手は怒るかも知れません。もし、調子が悪いことを伝えていたらどうしょうか。どこまでできるか、どこは難しいか、事前に話し合えば、カバーできることはたくさんあります。

難しいのは、ここで、相手に余計な気を遣わせるのではないかなどと考え、隠しておくこと。

よく言えば、相手への思いやり。悪くいえば、相手を信頼していないことになります。

相手への思いやりはすごく大切なものです。でも、これのせいで結果が悪くなったらどうしますか?
別に、苦しいんだアピールをしろというわけではないんです。ただ、今のありのままを知らせることは、相手のコンディショニングの前提を渡す上でも重要。試合で負けた後にこれを相手に伝えたら、「なんで伝えてくれなかったんだ!もっとカバーできたところあったのに」となるでしょう。これは下手をしたら、
相手を信頼していない
という解釈にも繋がりかねません。

そもそも、バディがいることの最大の利点は、お互いの良いところをもっと引き出せること、そして、相手の未熟な面をカバーリングできること。

調子だって、常に万全でいることなど誰もできないのですから、悪くなるのも当たり前のこと。
全て、バディとの会話が重要なのです。

「言語化が重要ということは、わかってるよ!」
という人もいるかも知れません。でも、真の言語化は自分でわかっているではなく、相手に説明できる段階まで噛み砕けていることです。なんとなくあそこが悪かった、と自分の中で反芻しているだけでは言語化とは言えません。それはただ思い出しているだけです。

そもそもバディといえど、特に最初組んだ時なんて相手のことなんてわかりませんよね。このヒーローたちの戦闘中なんて、敵もいるのに相手のことを知る余裕なんてありません。

だからこそ話すのです。

ファイヤーエンブレムとスカイハイ
この2人はベテランとして、すごく良いチームワークを発揮します。ただ、お互いを尊重しあった結果、少しでも相手によく思われたいと自分を作り、背伸びをして、ある時溝ができてしまう。
相手に気持ちよく仕事をしてほしい気持ちは大切だし、相手によく思われたい気持ちは誰にでもあること。
でも、完璧だけが良いことでしょうか。

私は、よく”全部できなきゃ”論が強い人にいいます。完璧に仕事するけど、なんとなく接しにくい人と仕事が7−8割だけど、色々話せて親しみやすい人、どっちと仕事がしたい?
こう尋ねるとほとんどの人が後者と答えます。
ですから、本当は完璧にいる必要はないんです。

できないところは愛嬌!
そして、そんなところが安心できる。

ですから、皆さんもぜひ、自分のできないところを全て隠そうとしないでください。それは疲れちゃう。笑えることはそのままで良いし、改善すべきなら、ここから変えれば良い。
そう思って今の自分を気楽に受け止めましょう。

ブルーローズとゴールデンライアン
この2人はとにかくコールデンライアンが最初早とちりして、ちゃんとブルーローズの話を聞きません。
ここもコミュニケーションで大切なこと。
事実と想像を分離して考える。
今、自分が考えていることは、本当に言われたことなのか、それとも自分の中で膨らんだ想像か。
ブルーローズから言われたことであれば、それは事実だから受け入れるべきですが、言われてなくて考えたことは、ただの想像です。
人間は、抽象的なことと未来のことに不安を覚えやすい。
この”ああなったらどうしよう”や”こうなったらどうしよう”というのは、未来のことだし、抽象的なことが多いので、ほとんどの場合、マイナス方向に思考が膨らんでいきます。私はこれを

「思考の暴走」

と呼んでいます。
ゴールデンライアンはこうなりがちなんですね。
これは、日常生活でもよくあること。
あの人こう思ってるかな、と自分の頭の中で想像し、勝手に意気消沈する。
そうなる前にまず、本人に確認することが必要です。事実と想像の分離、できてないなと思い当たる方、いませんか?

他のメンバーもそれぞれの特徴があって、学ぶところがたくさんありますが、長すぎてしまうので、今は割愛。

少しだけ、敵に触れたいと思います。フガンとムガンは一心同体。子供の頃から常に一緒のバディです。だからこそ、チームワークも完璧で、めちゃくちゃ強い。次々とヒーローがやられていきます。そんな中、なぜ彼らは負けてしまったか。
「信じるは己の力のみ」
これを彼らはずっと唱えています。
彼らは、彼ら以外の世界を全く受け入れなかったのです。ヒーローたちは、バディを組んでいますが、各々ちがうヒーローにも相談し、他の人の話を聞いて行動している。人のことを受け入れることは非常に大切です。
私は今、スポーツメンタルをしていますが、選手によって、すごく初めから受け入れてくれる人もいれば、全然興味を示さない、むしろメンタルについて話すことに抵抗がある人もいます。
両方の反応がいることは当たり前だと思います。

ただ、強くなる選手に共通することは

まずは受け入れること

です。
せっかくスポーツメンタルの人がいる、だとしたら、使うかどうかは本人次第だけど、まずは受け入れてみる姿勢はすごく大切。それを一回取り入れてみて、合わなかったらやめれば良い。
はなから他人を信用せず、他人の意見を全く尊重しないでは成長は見られません。
人が強いことを認めるから。そこから学ぶことがある。

彼らは、他人で切磋琢磨することができなかった分、ヒーローたちに及ばなかったのでしょう。

ただ一つ、私は彼らの素晴らしいな、と思うところがあります。それは、先程でた

「信じるは己の力のみ」

この言葉。ちゃんと自分の力は信じてるんですよね。これってすっごく大切なこと。
日本って謙遜の文化があるので、

いやいや…自分なんて……

となりがちです。でも、自分の今までやってきた努力に自ら嘘をつく必要があるでしょうか?そこは、逆に自信を持たないと、自分が可哀想じゃないかなっておもいます。
だから、"のみ"という部分は良くないけれど

頑張った自分の力を信じよう

これはみんなに伝えたいことです。


まだまだ次の展開に期待ですね!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?