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長男へ贈る言葉〜利休さんが教えてくれたこと



「じゃあ、しばらく帰れないから。お母さんをよろしく頼むよ。」

夫は長期出張の前には、よく息子たちにそう言って出ていく。わざわざ、どうも。

「わざわざ」言わんでもね、夫留守中の長男(18)は、夫が乗り移ったかのように(元々のおしゃべりに加えて)、普段以上に私に話しかけてくるのだけど。

息子と話すのはもちろん楽しいけど、小学生ならいざ知らず、私のあとをついて回ってまで話してこなくても。どっちかというと私は適度に放っておいてほしいタイプなのよ。

夫も、また夫にそっくりな長男も、そこがよく理解できないらしく、アンテナを張りサービス精神を発揮してしまう。

長男は身長180センチで 小顔のイケメン(フフッ)だし、エレキギターで学園祭を沸かせてきたのに、高校生活は全然モテなかったらしい。マスク生活の犠牲者だ(プッ) と本人は主張する。

いやいや原因はウザ…優しさの大安売りをしていたせいかもしれないよ(明朗快活、積極的だから、先生方の覚えはめでたいんだが…)。安易に使われて、損することもありそう。

喋っているときは全く何も考えておらず、自動操縦だという。そんな長男に私が思わず放った言葉が、こちら。

「心は軽く。言葉は重く。」

心爽やかに。深刻になることはない。けど、もう少し言葉は慎重に。

私の言うことだから含蓄が足りないけれど、咄嗟に出てきたのは以前、お茶の先生に教わったことが頭にあったせいかもしれない。

何にても 道具扱ふたびごとに 
取る手は軽く 置く手重かれ

利休百首


茶筅のような軽い道具や、水指のような重い道具であっても、手に取るときは(ヨイショなんて言わずに)いかにも軽く、置くときはそうっと大切に、さっさと置いたりしない。

見ている客の安心のためにも、気持ちを込めて道具を扱いなさい、ということだと思う。


何にても 女子扱ふたびごとに
心は軽く 言葉重かれ

勿体つけてみました


長男、そして夫よ。何かと私を気づかい、話しかけてくれてありがとう。他者に向けるそのエネルギーを、もっと自分のために使ってくれたら、嬉しいよ。


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