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命を生かし続けるもの

いま最も見失っているのは命かも知れません。
たとえばスーパーマーケットに並ぶ肉や魚は
もとは私たちと同じように生きていました。
それがどんな育てられだったかはともかく
個々に肉体をもち命のまま生きていたのです。
野菜や果物にしたって同じことで
太陽と土と水と大気により生かされていました。
この命を生かし続けていくうえでは
命をいただくしかないのです。
どうしてもそうでなければ生きられないことを思えば
そこには人智の及ばない叡智があるのでしょう。
わからないことをわからないままに
古代の人々は命をいただくうえで儀式をおこない
やがて食事のいただきかたも「礼」として形をととのえていきました。
それは、とりもなおさず
命への敬意と畏怖とにほかならなかったのです。
大地や海で彼らがいきいきと生きていた時の姿を
食事をいただく時に、ほんの少しだけでも
想い出すことができたなら、
「いただきます」の言葉も深まるかも知れません。


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