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破壊したものの魅力

われわれ西洋人は、ほんの一匹の蟋蟀の鳴き声を聴いただけで、心の中にありったけの優しく繊細な空想をあふれさせることができる日本の人々に、何かを学ばなければならいのだ。(中略)
われわれの極端な工業化が、彼らの楽園を荒廃させ、いたるところで美を、実利、陳腐さ、低俗さ、醜悪なものに置き換えた後で初めて、われわれは、破壊したものの魅力を、悔悟の念に駆られながら愕然と理解することであろう。

『虫の音楽家』小泉八雲 池田雅之訳(ちくま文庫)

「西洋人」を「現代人」に
「日本の人々」を「かつての日本人」と置き換えて
読んでみると
悲しいかな、十分に通用します。
もちろん現代人すべてとはいえないし
ある程度は時代の流れと位置づけることが出来ます。
ただ、少なからぬ人が気づいたにもかかわらず
今なお止めることができず
むしろ加速しているのは
残念を通り越して、恐ろしいとさえ言えましょう。

写真:魚住心


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