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結婚したい女たち/木花薫

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妥協なんてしないアラサー女三人の物語。立野香(たつのかおり)、一花(いちか)、お琴(こと)は生まれも育ちも違うが婚活で親友になる。お互いを羨み切磋琢磨するが運命の歯車が回り始め……
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#婚活

小説「結婚したい女たち」にいただいた感想をまとめました!

 連載中の「梅すだれ」をお読みいただきありがとうございます。肥後の国に長居してしまい、なんとか甲斐の国へ戻そうとしていたのに今は紀国へ行っちゃってます。桜が咲く頃までには肥後へ戻しますし肥後を出たいとも思っています。夏には熱々のお千代ちゃんの恋の物語をお届けできるように、遅筆ではありますが書いて参りますので、どうぞ最後までお付き合いよろしくお願い申し上げます。  ところで昨年出版しました処女作「結婚したい女たち」。婚活で知り合って親友になったアラサー女三人の結婚への顛末を書

婚活アラサー女子が運命と格闘する小説「結婚したい女たち」

 noteで連載をして5か月で書き上げた「結婚したい女たち」。アラサー女子三人が婚活で出会い親友になります。しかしお互いをうらやんでばかり。そんな中容姿でひけを取るお琴が大胆な行動に出ます。モデル体型の一花とアイドル顔負けのかわいい香に追いつこうとお洒落にいそしんでいたけれど、到底かなわないと観念したお琴が選択したことは・・。  壊れる女の友情は形を変えて作り直されていくのでしょうか?!見た目も生まれ育ちも違う女子たちが切磋琢磨して結婚というゴールへ向かっていきます。しかし

女の友情で不都合な現実を乗り越えていくアラサー女たちの話

今こそ読んでほしい、この本。 #読書の秋2022 #結婚したい女たち  婚活で知り合ったアラサー女三人は容姿も個性も生まれ育ちもバラバラ。それでも「親友」と呼び合うほど仲良くなったのだけど、不都合な現実を隠し合ってお互いを羨ましがって苦悩しています。特に一花が強烈で夫にも言えない過去に苦しむ姿には涙。  前半は三人の各人生のお話なのだけど、中盤から登場人物が増えて三人の運命が急速に動き出します。それはまるで運命の輪が回り出したように展開していくのでページをめくる手が止まら

43 結婚したい女たち 運命

 ゴールデンウイークが終わりまたしてもコロナ感染者が急増し始めた五月。香はカフェにいる。コロナのこともあって周りにほかの客はいない。例年よりも肌寒いこの日、レース編みのカーディガンを羽織って外のオープンテラスに座り一人で真っ赤なハイビスカスティーを飲んでいる。

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23 結婚したい女たち 香の選択

(私も行きたくない) お琴から「次の畑は行けない」とLINEが来た香は強くそう思った。

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22 結婚したい女たち お琴の選択

町から車で三十分走ると野生の木々が生い茂る東中之村(ひがしなかのむら)という村がある。そこで大々的に苺のハウス栽培をしている杉野夫妻が農業をいろんな人に体験してもらいたいと使っていない畑二面を農業体験用に開放している。三人が参加した日はほかにも十人ほどいてほとんどは家族連れで農薬を使わない安全な自然農法だけあって小さな子ども連れが多かった。

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17結婚したい女たち 不都合な現実 香

 そして今この地上三千メートルにも香の居場所はなかった。日本一高い富士の山の上で気の沈む香に比奈ちゃんはダメ押しの「香ちゃんて全然変わらないよね。昔のまんま」を言ったのだ。香にとって「変わらない」は「大人になれない」ということ。実家で両親と暮らす香は家事をしているとは言え子どもの頃と同じような気分になっている。暗い表情の香に比奈ちゃんは手を振りながら慌てて付け足した。

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9 結婚したい女たち ~ 香の苦悩 ~

 数か月一緒にいるとあんなに恋した心はどこへやら、すっかり熱が冷めて知らんぷりを決め込んでしまう。ただし彼氏もいずに一人でいるのはその飽きっぽさによるだけではなかった。

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8 結婚したい女たち 香の苦悩

 いつでも背筋がシャンと伸びた一花は言葉も真っ直ぐだ。ズバズバものを言うからきつい性格に思えるけど、言ったあとにこちらの心情を配慮したことも言うから正直で誠実という印象がある。ひっつめてきれいにまとめた髪のように一花が乱れるところなんて見たこともない。 (どうして離婚したんだろ。不思議。男の人にはわがままを言うのかな)

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6 結婚したい女たち 一花の憂鬱

ぶるるっ。 一花のスマホが鳴った。

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5 結婚したい女たち  一花の憂鬱

「いつにしよっかな」 一花は自宅マンションのリビングでスケジュール帳をめくった。結婚していた当時から使っている三人掛けの大きなソファ。その上に足も上げて座り込み膝の上に手帳を置いてウキウキと山登りの日程を立てている。

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4 結婚したい女たち ―出会い―

体型もパーソナルカラーも性格も何もかもが違うけれど一緒にいると楽しくて仕方がない。お琴にとって一花と香とランチを食べながら話すこの時間はとても大きい。月一、多い時は隔週で会ってしまう。もちろん招集するのはお琴だ。(大人になってからこんなに仲のいい友だちができるなんて。婚活をしていてよかった)などと思ってしまう。と言うのもこの三人が出会ったのは婚活パーティーでだった。運命の男に出会おうと気合いを入れて参加したのだけど、運命の女たちに出会ってしまった。

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3 結婚したい女たち プロローグ

重たい沈黙を破って一花が言った。 「今日のお琴なんか違うよね。メイク変えた?」

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2 結婚したい女たち プロローグ

「ねえ今度さ」と鏡をしまった一花が神妙な顔をした。 「山に登らない?」

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