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次の瞑想会でも一花はヨガのレッスンをした。二回目の今回は三十人も集まった。実紀がインスタグラムで告知をしたのだ。二十代の女性が十人も来るという今までにない賑やかさに実紀はホクホク顔で喜んだ。しかし一花は働いているヨガスタジオにもう黙っておけないとスタジオを去る覚悟を決めざるを得なかった。一花を立ち直らせてくれたスタジオとの別れは寂しい。それに加えて契約違反のレッスンを何か月もしていることを告白するのは怖い。悪寒が体を走るのを感じた。
いつもよりスピードを出した一花の車はあっという間にマンションに着いた。東西に横広な九階建てのマンションは北側一面が住民専用の駐車場になっている。一花は急ハンドルを切って駐車場へ入った。自分の駐車スペースまで行くといつもはバックで停めるのにそんなまどろっこしいことなんて出来ない。頭から突っ込んで駐車すると荒々しくドアを閉めて足早に東側のエントランスへ歩いた。
瞑想会当日。二人に言わなかった一花は(やっぱLINEしとけばよかったかな)と後ろめたい気持ちを拭い切れなかった。
ヨガルームの準備が終わると一花はリビングへ戻った。そしてリビングのローテーブルの脇でヨガの動画を見ながらポーズをとり始めた。
市内の中央にある九階建てのマンションに一花は一人で住んでいる。
ぶるるっ。 一花のスマホが鳴った。
「いつにしよっかな」 一花は自宅マンションのリビングでスケジュール帳をめくった。結婚していた当時から使っている三人掛けの大きなソファ。その上に足も上げて座り込み膝の上に手帳を置いてウキウキと山登りの日程を立てている。