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結婚したい女たち/木花薫

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妥協なんてしないアラサー女三人の物語。立野香(たつのかおり)、一花(いちか)、お琴(こと)は生まれも育ちも違うが婚活で親友になる。お互いを羨み切磋琢磨するが運命の歯車が回り始め……
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#アラサー

婚活アラサー女子が運命と格闘する小説「結婚したい女たち」

 noteで連載をして5か月で書き上げた「結婚したい女たち」。アラサー女子三人が婚活で出会い親友になります。しかしお互いをうらやんでばかり。そんな中容姿でひけを取るお琴が大胆な行動に出ます。モデル体型の一花とアイドル顔負けのかわいい香に追いつこうとお洒落にいそしんでいたけれど、到底かなわないと観念したお琴が選択したことは・・。  壊れる女の友情は形を変えて作り直されていくのでしょうか?!見た目も生まれ育ちも違う女子たちが切磋琢磨して結婚というゴールへ向かっていきます。しかし

45 結婚したい女たち エピローグ

「実はね、結婚することになったの」 ミーちゃんがいないまま迎えた秋分の日。高級フレンチレストランでランチのコース料理を食べながら香が言うと「おめでとう」とお琴と一花が予定調和にお祝いの言葉を言った。

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25 結婚したい女たち 一花の選択

「あれ一人?今日はあの二人来ないの?」 と嬉しそうな実紀に一花は、 「二人とも予定が入っちゃったみたいで」 と平気を装って答えた。しかし週末なのに一人で三人分の畝を世話するのはまるで平日のようだと寂しさを感じずにはいられない。偶然二人とも来られなかっただけ。頭ではそう思おうとしても何故だか胸騒ぎがする。丸かった三人の仲が歪(いびつ)な形に変わり始めているようで。そこへ「ネコは?」と信二がミーちゃんを探しに来た。

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24 結婚したい女たち 香の選択

 香が戻るとお琴と一花は折り畳みの小さな木の台に料理を置いて向かい合って座っていた。「香はここ」とお琴に言われて座らされたのは、二人の座っている切株のような椅子とは違って手すりと背もたれの付いた立派な椅子だった。「お誕生日席だ」と笑うお琴に続いて「それ壮太君が作ったんだよ」と一花が言った。平日に壮太と一緒になった時にこの机と椅子を持って来たんだそうだ。「えーすごい座り心地めっちゃいいよ」と驚く香に一花は続けた。

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23 結婚したい女たち 香の選択

(私も行きたくない) お琴から「次の畑は行けない」とLINEが来た香は強くそう思った。

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19結婚したい女たち 一花の家

「ミーちゃんに会って変わったって言うのさ、その月星座?のこともあるかもしんないけど猫って神の使いって言われてたんだよ。古代エジプトで」

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18 結婚したい女たち 一花の家

香はマンションの六階にいる。一花のヨガのレッスンを受け終ったところだ。お琴はシャワーを浴びているが香はたいして汗をかかなかったのでシャワーは遠慮した。着替え終わるとヨガの部屋を出てリビングへ歩いた。玄関から奥へ伸びた廊下には右手にヨガの部屋と寝室があり左手に今お琴がシャワーを浴びている浴室とトイレとランドリーがある。その廊下を歩く香は(一花の住んでいるところはどんなとこだろう)とドキドキしながら突き当りのドアを開けた。左側にはリビングが右側にはダイニングとカウンターキッチンが

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17結婚したい女たち 不都合な現実 香

 そして今この地上三千メートルにも香の居場所はなかった。日本一高い富士の山の上で気の沈む香に比奈ちゃんはダメ押しの「香ちゃんて全然変わらないよね。昔のまんま」を言ったのだ。香にとって「変わらない」は「大人になれない」ということ。実家で両親と暮らす香は家事をしているとは言え子どもの頃と同じような気分になっている。暗い表情の香に比奈ちゃんは手を振りながら慌てて付け足した。

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16結婚したい女たち 不都合な現実 香

次のイベントまでの長い休日は結衣ちゃんと遊んで過ごすことが多かった。

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14 結婚したい女たち 不都合な現実 香 

市の中心街の西にある閑静な住宅地。そこに香は住んでいる。

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11 結婚したい女たち 不都合な現実

(ヨガウェアを買わなきゃ!) お琴は最後のパンを口へ放り込んだ。

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10 結婚したい女たち 不都合な現実

 勤務先の小学校から二㎞離れた場所で田んぼの隣にあるアパートにお琴は住んでいる。学校で子どもたちと騒がしい時間を過ごしても寝室とリビングと小さなキッチンのついたこの静かな部屋がお琴の疲れをいやしてくれる。

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9 結婚したい女たち ~ 香の苦悩 ~

 数か月一緒にいるとあんなに恋した心はどこへやら、すっかり熱が冷めて知らんぷりを決め込んでしまう。ただし彼氏もいずに一人でいるのはその飽きっぽさによるだけではなかった。

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8 結婚したい女たち 香の苦悩

 いつでも背筋がシャンと伸びた一花は言葉も真っ直ぐだ。ズバズバものを言うからきつい性格に思えるけど、言ったあとにこちらの心情を配慮したことも言うから正直で誠実という印象がある。ひっつめてきれいにまとめた髪のように一花が乱れるところなんて見たこともない。 (どうして離婚したんだろ。不思議。男の人にはわがままを言うのかな)

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