キングアーサー 1/17

全体を通して、基本的に本当にろくな人が出てこない。いい人は義兄くらいのものだ。もっとも、神話とか英雄伝はそんなものなのだろうが。

そんな人々のどろどろストーリーで、曲はいいし、それぞれはそれなりに輝いているが、なにが伝えたいのかよくわからないという印象を受けた。
まあ、前提として私は無神経なところがある勇者があまり好きじゃないのもある。復讐だとか、悪感情を理解できないから無意識に他人を傷つける。もちろん、性善説で生きているからこそ、神によって選ばれ、世界を救うなぞという馬鹿げた試練に挑めるのだと思うが、そのために今まで努力してきた人間を後付けの神から授かった才能で一瞬で超えていくのもやっぱりいかがなものかと思ってしまう。

始まりは一般人アーサーが聖剣に勝手に触って、勝手に勇者になる。危険人物によって盗まれる可能性も捨てきれないのに警備緩すぎるだろ感をちょっと感じた。神様がそうするよう仕向けたのかもしれないし、マーリンの仕業があったのかもしれないが。

ただ、大会で勝ったメレアガンは独善的なところがあって、勇者には向いていなかったのかもしれないが、騙し討ちもいいところだし、それで闇落ちするのは流石にプライド高い感もあるが、ずるで出し抜いた男に騎士として任命してくれ、と言われたらブチギレる気持ちはわかる。

それを看病して、きっと運命ね、と言って結婚したグィネヴィアはランスロットと恋に落ちて、死んでも一緒にいられる指輪を渡しちゃうし、それを受け取っちゃうランスロットもランスロット。

アーサーは父のユーサー王が部下の嫁に横恋慕し、マーリンの魔法で部下に見えるよう姿を変え、レイプした結果、生まれた子なのだが、それを子供のカンで察してしまったモルガン。彼女は復讐一筋の女になり、マーリンと同じ魔法を使ってアーサーの子供まで孕んだり、メレアガンを焚きつけたりして、引っ掻き回しにかかるんだけど、そんな彼女に君が幸せになるのが復讐だ、とか、意味のわからない慰めをしていい気になってるアーサーにイライラした。

でも、なにより、ユーサーのレイプの片棒を担いでモルガンの母とモルガンを傷つけ、そのせいでモルガンによってさまざまなアクシデントが引き起こされて、と常にろくでもないことをして、ろくでもない結果を生みまくってるマーリンがあたかもいい師匠かのように振る舞い、いつでもそばに居るから、とか言って消えるのが気色悪くて仕方なかった。ユーサー亡き今、一番の諸悪の根源はたぶんマーリン。

演技面では、浦井くんはナイスポンコツボケだったし、かずっきーは鬼気迫った歌声に支えられたキチガイが素晴らしかった。ジャックを思い出した。もっくんもイケメンだったし、安蘭さんもアブナイ香りをする恐ろしい美人さんでかっこよかった。
だから、本当に各キャラクターのショーとしては良かったけど、内容は刺さらなかった。

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