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ロミオとロザライン 7/13

ロミジュリをやるキャストたちと演出家が
初日を迎えるまでの話。
登場人物たちは劇中劇の役さながらの
関係性にある。
原作にほとんど登場しないロザラインの視点は
演出家が担っている。

以下、長いあらすじ

読みたくない人はスクロールを。

初めに口上と殺陣があり、
本編の最初のシーンはロミジュリの本番5日前。
ロミオである北山(川﨑)が、
なぜロザラインの時はキャピュレットで
あることを気にしなかった(ロザラインは姪)
のに、ジュリエットの時は気にしたのか、
本当にロザラインを愛していたのかわからない、
と言い出し、これ以上演じられないと稽古場を
出て行ってしまう。
その日は稽古中止。

その夜、演出家の松谷の元に北山から迷惑を
かけて申し訳ない、という電話が来る。
その電話を受けて、1ヶ月前に北山から電話で
告白され、千秋楽にその答えを伝える、
と言った時のことを思い出すが、
それどころではない、と一晩かけて、
ロザラインについて調べる。

そのうちに寝てしまい、
自分がロザライン視点でロミオとジュリエットを
見るという夢を見る。
この夢は最後まで毎晩見ることになり、
徐々に睡眠薬なしでは眠れなくなる。

ロザラインは端役であり、出てくるのは一瞬、
ろくに情報は集まらない。
4日前も稽古は中止になる。

そこで、北山はジュリエット役の蓮見に
恋人役を固めるためにデートしないか、と誘い、
ディズニーランドへ行く。
北山は稽古場を出ていったことからも
わかるように、完璧主義者であり、
過去にホームレス役をやるためにホームレスを
したこともあるという。

デートの結果、北山は恋に落ちる。
ただし、蓮見はアイドルをやめた今、
女優になることが夢であり、
あくまでもジュリエットとして、北山ではなく、
ロミオを愛したい、という。

ロミオは大人の女性であるロザラインを
性的な目で見ており、ジュリエットは本気。
なぜなら、即結婚まで考えたから。
本気じゃないなら素性なんてどうでもいい
(なお、私はこれでも納得はいかない)
という夢を見た演出家は北山に
その考え方を伝え、
稽古は順調に進むかと思いきや、
昨日のデート場所は人が多いディズニーランド。
バレないはずもなく、文春砲を食らうが、
あくまで役作り、ということで押し通した。

本番2日前、実は蓮見のアイドル時代の
大ファンだったティボルト役の猪川と北山の間で
喧嘩しそうな雰囲気になるが、周りが止め、
なんとか稽古は終了する。

その日の夜は、ロミジュリの三幕五場みたいな
ことになってるのかな?(つまりベッドイン)と
出演者が言ったのを言ったのを聞き、
複雑な気持ちになる松谷。

本番前日、蓮見は北山に、
猪川に対して覚えてますよ、
未熟なロミオとジュリエットを
応援してください、
と言って丸め込んだことを告げる。
そして一緒に帰りたいという北山を
冷たくあしらい、帰った。

そして当日、舞台は成功を収める。

果たして、松谷は本当に北山のことが
好きだったのか、ただ、自分のものだと
思っていたものがなくなってしまうことへの
執着ではないのか、
昔いらない人形を人に欲しがられた途端に
あげたくなくなったように。
ロミオはロザラインを、
北山は松谷を本当に愛していたのか、
この後3人はどうなるのか、いくらか疑問が残る。

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感想

まず、劇中劇のロミジュリが、
ロザラインがいることを除いても
先月ごろ見たロミオ&ジュリエットと結構違った。
原作はまだ未読なので、
原作準拠ということなのだろうか。

箇条書きにすると、

・ステゴロ、時々ナイフだったのが、剣。
もっとも、時代的に剣であった可能性があるとは
思ったが、殺し殺されのシーンがナイフの方が
見えにくいし、うっかり起こり得そうだから
わかりやすいため、演出の都合があるのかな?
という感覚。

・ロミオが招待状を読まされて舞踏会の存在を知る
ベンヴォーリオとマーキューシオにいきなり
誘われるイメージだったので、
ちょっと意外ではあったが、
必ずしも必要ではないと思うので
上演においてカットするのもやむなし。

・舞踏会に行った目的はロザラインを見るため
これも意外だが、今回の話の中でもヒロインが
ロザラインがいるとややこしいから
カットしたら、と言っていたように、
話のノイズになるため、
カットした可能性が高い。

・ロミオもジュリエットもメンタルが弱く、
追放のくだりで地面に突っ伏して泣く

割と無鉄砲で思うがままに行動できてしまう
イメージだったので、
キャラ像が定まらなくなるから
そうではなくしていそう。
これは解釈の範囲の描かれ方なので、
原作とは関係ない可能性もある。

・ジュリエットはパリス伯爵との結婚か
勘当かの突きつけられる。

これは勘当されてロミオと住めばいいじゃん、
となってしまうので変更された可能性が高そう。

・ジュリエットの訃報を伝えるのが
ベンヴォーリオではなく、
また、神父様の手紙は伝染病の疑いで
国境を通れなかったため、届いていない。

現代版はメールだからいいが、
宝塚版で謎だった部分の謎が解けた。
一方で、なぜ訃報を伝えた者は通れたのか疑問。

・ジュリエットの亡骸に会いに来たロミオに
喧嘩を売り、パリス死す

パリスは空気でロミオは愛に生きる聖人的な
イメージが強いが、
実際のロミオはかなり精神がイッてたっぽい。
ジュリエットと心中するのを邪魔する人は
誰も許さない。

・神父様が来てからジュリエットは蘇生
しかし、目を盗み、自殺してしまう。
ここも2人とも死んでしまっていた方が
納得感が強いかな?という感じだし、
結果は同じだからどっちでもいいから
変えたのかな?

どちらの方がいい、悪いを言うつもりはないが、
ロミオがパリス伯爵を殺すのは
ロミオの精神状態がわかりやすくて面白いな、
と感じた。

あと、全編いわゆる笑いを入れてきてるな、
と思った。
回想終わり!とか、喋ってる途中で暗転したり。

さて、キャストについて、

主演の川﨑プロは声とか雰囲気の作り方が
うまかった。舞台が好きなだけはあるな、と。
一生懸命な頭ゆるいバカにちゃんとなってた。
演出家の松谷を電話で必死に口説くシーンが
めちゃくちゃ勢いあって面白かったし、
ロミオはロミオで重々しい雰囲気が良かった。
特にパリス伯爵を殺すところの目つきとか
雰囲気が好き。

情熱ゆえの勢いのあるセリフが
聞こえにくかったりしたので、滑舌とか、
あと、セリフとセリフの間だけじゃなく、
セリフ内の間と言うか、読点の取り方?とかが
まだ改善の余地はあるな、と思ったけど、

そもそもの役作りはできてるので、
あとは舞台踏んで専門家の人の指導、
先輩がたの演技の仕方を学んでいけば、
身長の都合上、主役はきついかもしれないが、
例えばロミジュリならベンヴォーリオや
マーキューシオのような印象を残す脇役に
なり得ると思った。

個人的に、恋人がいたら驚くJr.ランキングが
あったら間違いなく上位、
なんなら1位になりそうな川﨑プロの
惚れっぽいんで、っていうセリフにじわった。

次に演出家役の吉倉さん。
噛んでしまうシーンとかもあったけど、よかった。
すごくナチュラルなお芝居をされていた。
こっちも見ていて感情移入できる。
地味な役だからこそ、
違和感を抱かせないのすごい。
身長も高いし、舞台の世界でも
そこそこやっていけそう。
宝塚という強大な団体があるから
断言は出来ないけど。

蓮見さん役の飯窪さんは
短いジュリエットのセリフはいいんだけど、
普段のやりとりの部分に
少し演じてる感が強かったのと、
特にバルコニーの長ゼリフが全部言い切ることに
一生懸命になってしまっているのか、
棒読み早口になってしまっていたのが残念。
川﨑プロと同じく、滑舌とか、
間と読点の取り方の勉強が必要そう。
声はめっちゃヒロイン声でジュリエットしてて
可愛かった。

マーキューシオを演じてる織田役の一色さんは
うまい。
めっちゃマーキューシオだったし、
稽古場のシーンの勢いの感じもいい。
やっぱり経験者は違う。

ベンヴォーリオを演じてる河村役の二宮さんは
やっぱり若干棒読みなのと、
ベンヴォーリオがちょっと気弱すぎかな?と。
一応キャピュレットとモンタギューの戦いに
関わってる人間なので、ロミオに対して
強く出れるかはともかく青臭いヤンキーで
あってほしかった。

あとは、ティボルトってそんなおじさんだっけ、
と思ったりはしたけど、
基本的に経験を積まれてきてる方たちなので
うまかった。

劇中劇のロミジュリの乳母のリアクションとかで
観客が笑ってるのを見て、
そう!ジュリエットの乳母って
こういうキャラしてて面白いの!
となんか勝手に嬉しくなった。

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