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冬のライオン 3/10

王ヘンリー2世、幽閉されている王妃エレノア、
無骨な騎士の第一王子リチャード、
口だけが達者な第二王子ジェフリー、
バカだけど可愛がられてる第三王子ジョン、
ヘンリーの愛妾アレー、
そしてフランス王フィリップの国をめぐる話。
それぞれが互いの考えを読み合い続ける。

ジョンの真っ直ぐなバカっぷりと、ジェフリーの
滑りっぷりが実に見事。
一番面白かったのはやはり、イングランドを
自分のものにするためにフィリップに助力を
頼もうとみんなが部屋を訪れ、そして、
カーテンの裏に隠れていくシーン。
フィリップにちょっかい出して隠れたあとに
若き日のフィリップを無理やり犯した(愛)と、
父親にバラされ、かつ、嫌いと言われた
リチャードの動揺もなかなか。

結局、誰もが自分のことしか考えていないから、
ほとんど全てのものを失ってしまうのが、
悲しい。

唯一蚊帳の外で優しい心を持つアレーと
母のような存在であるエレノアがホットワインを
作るシーンは心がぎゅっとなる。ヘンリーを
取り合う立場でありながら唯一の同性であり、
なんか分かち合えるものがあったのだろう。

史実ではリチャードはリチャード1世となり、
戦死し(ロビンフッドの話でも見た)、
ジョンは歴史的にも例を見ない馬鹿で、
欠地王として名を残しており、それゆえに、
「ジョン」という名前の王は彼ひとりである。
ジェフリーはジェフリーで長男が生まれる前に
死んだようで3人ともろくな人生ではない。
いつも後継者問題、領土問題はろくな結果を
もたらさないな、とつくづく思う。

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