「私書箱」に届いた質問です。

ワンダーウォール、本当に本当に大好きで、録画を何回見返したかしれません
映画は配信してくださったおかげで、在宅で見ることができました

夜明けの松籟に重なる三船のことばが耳に残り消えないのです
「まるで恋のように」
「俺が出会った」
このことばからエンディングへの流れを初めて見たとき、血が背筋を逆流したかと思うほど気持ちがざわめき、涙が止まらなくなりました
「出会い」を自分で見つけた、見つけるであろう全ての若者への祝福があふれていたからです

キューピーと三船の「出会い」は映像になりましたが
マサラと志村の時はどうだったか、寮と出会った瞬間のふたりの表情が知りたいと思いました
マサラ役の三村さん、志村役の岡山さんは、どんな表情だったと思われますか?
お二人のお話を伺ってみたいです


✉️質問へのお返事

脚本の渡辺です。お手紙ありがとうございました。

「『出会い』を自分で見つけた、見つけるであろう全ての若者への祝福があふれていたからです」

このお言葉を、私は私の知るすべての近衛寮生(的若者)たちに伝えてあげたいという気持ちで いっぱいになりました。 かけがえのないものを見つけたことは、それがどんな悩みや苦しみを伴うとしても、 まずは「祝福されるべきこと」なのですよね。 そのことを、私自身もまたあらためて思い出させていただきました。 ありがとうございました。

さて、たしかにマサラや志村の近衛寮との出会いはどんな感じだったんでしょうね? このご質問にはマサラ役の三村和敬くんがめちゃくちゃ面白い回答を寄せてくれました。 どうぞ。

マサラ(三村和敬)の「出会い」

ふん、合格したはいいが住む場所はない。
あの不動産屋のおばさん、笑ってたけど目が怖かった。イライラしてた。この時期は忙しいのかね。
あ、猫だ。ふふ。にゃー。君も住む場所がないのか?
新幹線で買ったビーフジャーキーがまだ残ってたな。猫、腹減ってるか?食べろ、猫。…おい、待て。猫、逃げるな。いて、転けた。僕は今猫を追いかけて走りながら転けた。キョロキョロ。ふん、誰にもみられていない。
あ、ここどこだ?…あ、ここあそこだ。
見学、見学するだけ。
ここが受付?ボロ〜。ロン毛が本読んでる。やば、目合った。

「見学ですか?」
あ、いや…
「新入生?入寮希望?」
違います。
「じゃあこれ書いて」
書きません。
「寮費は住む日までに用意しておいてね」
住みません。てか、安。
「今日炊き出しやってるから食堂寄ってってね」
…見学、見学するだけ。

★5/28追記

そしてさらに志村役の岡山天音くんからも回答が届きました。脚本家的にも膝を打つしかない人物洞察力、さすがです。

志村(岡山天音)の「出会い」

まず撮影から2年が経ち、僕と志村の関係性もどんどん変わってきています。
毎日のように遊んでいたけど、いつの間にか連絡先すらわからなくなってしまった友達。
今の僕にとっての志村はそんな感じです。
もう一度連絡先を手に入れる所から始めないと、質問の答えは定かではありません。

ただ、志村にとっての寮との対面は、それまで宙ぶらりんだった足が初めて地面に触れた様な、そんな感覚だったんじゃないかと勝手に想像します。
表情に関しては、あまり内情を表に出さないタイプなのでもしかしたらいつも通りの顔だったかもしれません。