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かっぱファミリー (キューの冒険)

誰も知らない山奥にある、川にかかってる橋の下の、ほら穴の中にかっぱの家族が住んでいました。

朝早くかっぱパパはお仕事に出かけます。かっぱパパのお仕事は人や動物に化けて人間を調査するお仕事です。  かっぱママは、ご飯を作ったり、家の家事をしたり、畑のきゅうりの世話をしたりします。六年生の長男ヒューと、四年生の双子の長女ミューと、次男リューは学校に通っていて、学校では、動物や人に化ける勉強や、きゅうりの育て方を習います。  三男のキューはまだ4歳で川の近くで遊んだり、畑のきゅうりに水をあげたりします。キューはかっぱママやかっぱパパから「動物や人にばけられるようにならないとかっぱ村を出ては行けません。もし、かっぱ村を出たら捕まってしまいますよ!」と言われていました。 キューはまだ化けることはできません。

ある日のことです。キューはかっぱ村を出てみたくてたまらなくなってしまいました。かっぱ村の丘から見えるみはらし台に登ってみたいのです。あそこからみる景色はどんなにきれいでしょう! そして遊びに行くふりをしてかっぱ村を出てしまったのです。かっぱママはキューがかっぱ村を出るなんて思っていません。  キューは、山を下って行きました。25分ほど下ると街がみえてきました。 キューは身を隠しながらも、なんとかみはらし台に登れました。みはらし台には誰もいませんでした。「わあ、すごい!」とキューは言葉をもらしました。みはらし台からみる景色はとてもすてきで言葉で言い表せません!家やビルがいっぱい立っています。向こうにちっちゃく海が見えます。キューはこんな景色を見たことがありませんでした。と、キューがみとれているとトントン階段を登ってくる足音がします。大変です!キューが見つかってしまいます。隠れる場所もありません!するとキューの頭の上を大きなカラスが飛んで行きました。と同時に、キューはカラスの足に飛びつきました。キューは軽かったので落ちませんでした。キューはギリギリで人間には見つかりませんでした。 カラスが小学校の上を飛んだので、そのひょうしにカラスの足をはなして学校の屋上におりました。キューは、「ありがとう。カラスさん!」と言うと、屋上から教室の方へ降りて行きました。嬉しいことに今は授業中でした。けれど水を飲んでいた男の子に見つかってしまいました。キューはものすごい速さで学校を出ました。男の子は「わあ!かっぱだあ!」といいましたがそこには誰もいなかったし、かっぱなんて嘘だとみんなは言いました。  

キューが隠れながら街を歩いているとスーパーの方からきゅうりの匂いがしました。キューはスーパーに入って行きました。そしてきゅうりをこっそりとって行きました。 少し歩くと、公園が見えてきました。それで、キューは公園で少し遊ぶことにしました。きゅうりを食べて、ブランコをこいだり、滑り台を滑っているうちに日がしずんできました。キューは寂しくなりました。キューはかっぱ村へ帰ろうと思いました。けれども、かっぱ村がある山はどれでしょう?キューはあっちの山へ行ったり、こっちの山へ行ったりしましたが、どれもかっぱ村の山ではありません。  その頃、かっぱママとかっぱパパ、ヒュー、ミュー、リューが、キューを探して山を降りていました。  キューは、寂しくて、寂しくて、泣いていました。すると、女の子が通りがかりました。キューは隠れようとしましたが間に合いません。女の子に気付かれてしまいました。キューがどうしようと思っていると、女の子は、「どうしたの?かっぱくん」と聞きました。キューは、「この子なら優しそうだな」と思い、これまでのことを話して、キューのことを内緒にしてもらうように頼みました。すると女の子は、「ええ、いいわ。それからかっぱ村も探してあげる」と言ってくれました。 そして近くの山へ行ってみると、その山から、かっぱママとかっぱパパと、ヒューとミューとリューが出てきました。この山は、かっぱ村がある山だったのです。そしてみんなはキューを抱きしめてから、女の子にお礼を言ってかっぱ村へ帰りました。 かっぱ村へ帰ると、キューはこっぴどくおこられました。