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『THE IDOLM@STER MILLION LIVE! THEATER DAYS Brand New Song』2巻までの感想

(諸事情によるnoteアカウント移行のため、この記事は元アカウントから移行した記事となります。初出は2019/10/14です)

この記事を読む前に

・『THE IDOLM@STER MILLION LIVE! THEATER DAYS Brand New Song』
  (以下"BNS")の2巻までのネタバレを含みます。
・筆者は馬場このみさん担当Pです。

物語について

BNSでは、桃子、百合子、このみさんの3人を主軸とし、
彼女達と彼女達が所属するユニットの絆と成長が描かれています。

また一方で僅かではありますが、彼女達と志を同じくし、
同じ事務所で共にアイドルとして歩んでいく周辺キャラクター達の描写もあります。

2巻までの物語は、そんな彼女達がアイドルとしてデビューし、
ソロ曲を通して得た成長を糧に、いよいよ3人のユニットが本格始動する、
といった内容になるでしょうか。

この時点ではユニット名の決定までで、
正式にユニット活動を始めるのは(おそらく)3巻からなんですね。

ここまでの物語は、百合子の言葉を借りれば

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です。

では、彼女達がどんな風に"レベル上げ"をしたのか、
彼女達の軌跡を踏まえて感想を書いていこうと思います。

七尾百合子というキャラクターについて

先の百合子の「レベル上げ」という言葉から「百合子はゲーム好きなのかな?」といった印象があります。

実はBNSを読むまで、百合子のことはプロフィールとちょっとした特徴くらいしか知りませんでした。

"本好きで、普段から妄想に耽っていて、好きな物語の話をすると饒舌になる少女"、
僕が知っていたことといえばそれくらいでしょうか。
(余談ですが、僕はミリシタの2周年イベントからミリオンライブを知ったため、恥ずかしながら担当と数人のアイドル以外についてはまだあまり知りません)

だからこそBNSを通じて、
彼女がどのようなキャラクターでどんなモチベーションでアイドルをしているか、そしてどのように仲間やお客さんと接したいか、という部分が垣間見えて嬉しかった。

例えば、デビューライブでの桃子との会話。
初めてのステージ、自信が滲み出る言葉とは反対に緊張を隠せていない桃子。
そんな桃子を見て、自身も緊張を抑えられていなかった百合子は「私はお姉さんなんだから」と奮い起ち

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と言葉をかけます。

本の虫であり、普段から物語を読み耽っている百合子はきっと感受性が豊かで、だからこそ桃子の立場になって声をかけてあげられたのかもしれません。

例えば、『地球儀にない国』の歌詞を変えてもらおうとする場面。
百合子は応援してくれる人達への感謝の意味を込めて

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とPに話します。

百合子がお客さんをどう想っているかが伝わる一言です。

また、百合子についてはBNSの1話で
"物語の語り手となり、受け手に感動を伝えられるようなアイドルを目指している"
といった描写もあります。

百合子が語りたい物語とは、語り手と受け手が共に作り上げる物語なのかもしれません。

時には周りが見えなくなってしまう彼女ですが、
周囲の人達の言葉が彼女に様々な気づきをもたらします。

そんな百合子の成長をこれからも見守っていきたいですね。
(ちなみにBNSを読み終わった後、僕はミリシタの百合子コミュを全て視聴しました)

周防桃子というキャラクターについて

芸歴が長くプロ意識を感じさせる言動と、時折ふと見せる年相応の言動が魅力的なキャラクターです。

プロとしてのプライドから素直になれない場面や、仕事以外でもシャイな一面を見せる場面もありますが、
そんな不器用な桃子は、BNSの物語を通して最も成長したキャラクターと言っても過言ではないと思います。

デビューライブで緊張に震えながらも、百合子やこのみさんに打ち明けられなかった本音。
仲間の優しさに触れ、お互いに助け合うことで芽生え始めた信頼。
物語が進むにつれて、親しい人に対しては素直になれる部分も少しずつ出てきました。

そんな桃子が2巻の終盤、ステージで

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と宣言する姿は、素直になれなかった自分の殻を破り、
真新しい自分で大切な仲間と共に歩みたいという輝きに満ちています。

そこで桃子が歌った『ローリング△さんかく』もピッタリの曲でした。

桃子は、百合子やこのみさん、育との関わりを通じ、
仲間の大切さを、自分を待っていてくれる人がいることを実感しました。

その実感と歌詞が鮮やかに繋がります。

そしてもう一つ、
『ローリング△さんかく』は桃子の成長を描くソロ曲ではありますが、
僕には、仲間と一緒に成長していくことを歌っている曲にも思えるんです。

だってその歌詞の最後、
"いつか◯になる"のは「みんなで!」なのですから。

また、夏祭りとソロライブ後の育との会話シーンでは、
2人の距離感の遠近とその変化が両者の目線から丁寧に描写されています。

桃子の手を引いていた育は、次第に桃子を遠くに感じるようになります。
そんな育にかつて貰った勇気を振り絞り、育へ思いを伝える桃子。

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お互いを思う気持ちが溢れ出るような場面です。

かけがえのない友情を手に入れた桃子は、もう独りではありません。
きっと2人の友情は長く続いていくことでしょう。

馬場このみというキャラクターについて

愛らしい見た目と、メンバーの中で最年長となる24歳に相応しい大人な内面とのギャップが印象的です。
しかし見た目と内面とのギャップは、彼女の数ある魅力の内の一つに過ぎません。

内面を細かく見てみれば、
お淑やかな一面だけでなく無邪気な一面を持つこともわかり、
そのギャップにグッと来る人も多いことでしょう。

コーヒーにしっかりとミルクを入れる描写や、
牛乳を飲む姿もチャーミングですね。

いつも周りに気を配り、困っているメンバーの助けとなる行動を取ることが多い彼女は、普段はみんなのお姉さんとして親身に相談を受けています。

また、責任感が強く、それゆえに抱え込み過ぎてしまう一面や、
最年長としての立場ゆえに年下の仲間やPに弱みを見せられないといった部分も持っています。

日常的にセクシーを標榜しているにも関わらず、
その見た目から周りの人達やお客さんから可愛らしいアイドルとして見られることがほとんどなのですが、
そんな彼女が化粧をすると見た目と内面が綺麗に釣り合い、歳相応のセクシーさが見る者の心を鷲掴みにするでしょう。

特に和服を着た姿は、芍薬や牡丹、百合の花を思わせます。

……ちょっと突っ走りましたね。

本題ですが、そんな彼女がBNSで(というよりは百合子と桃子との3人の中で)どういった立ち位置かと言えば、
物語の最初では、百合子と桃子を一歩離れたところから見守るお姉さんのように見えました。

きっと百合子もそうですが、
大きな舞台で自分を表現することなどなかった人生。
3人でユニットとしての出演だったとはいえ、
デビューライブでの緊張は相当なものだと思います。

そんな中でも百合子の異変に気づけたのは、
彼女がお姉さんとして周りのことをしっかりと見ていたからでしょう。
(結果的に百合子を呼び戻したのは桃子でしたが)

しかし、彼女には彼女の重圧がありました。

朗らかな笑顔の裏に隠した心苦しさ、前を見つめる瞳の奥に潜む不安。
それらを払拭したいがために、無理を通してレッスンに励みます。

この時の彼女の焦燥がいかほどのものかは想像に難くありません。

そんな彼女に莉緒が言うのです。

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まるで、自分が学んだことを親に見てもらいたがる子供のように、
彼女に喜んで欲しかったのだと。

必要な時に必要な助言をし合える莉緒と彼女の関係は、
見ているこちらも心が暖かくなります。

雨上がりと共に晴れた彼女の心は、
すぐに次のステージへと向いていました。

迎えたソロ曲の直前、彼女はPと話をします。
出会った時のこと、ユニットリーダーのこと。

彼女は元々事務員志望で面接を受けましたが、なぜかアイドルとして受かってしまいました。
どのような心境で彼女がアイドルとして歩むことを決意したのかはここでは考察しませんが、
彼女が今トップアイドルを目指す理由は、アイドルの世界へ誘ってくれたPの期待へ応えたいという部分が大きいのでしょう。
その信頼関係はデビューライブでの「見ててね あのとき私を誘ってくれたこと きっと後悔させないから」という言葉にも表れています。

そんなPからずっと聞きたかった言葉をかけられて、
彼女は自身の弱さを見せることを受け入れました。

そして、
彼女が昴を安心させるためにしたように、
心配する莉緒が彼女にしてくれたように、
彼女はPに

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と伝えます。

そうして始まるソロ曲は直前の彼女の心情を表すかのようです。
「ねぇ 甘えてみてもいい?」「優しく」

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思わずドキリとしてしまうようなその素敵な笑顔は、
心から信頼するPに手を握ってもらえたからこそ出来たのでしょう。

そんな初めてのソロライブが終わるや否や、
彼女はずっと言えなかった言葉を百合子と桃子に伝えるのでした。

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作中にも近い表現がありますが、
彼女は他のメンバーを引っ張っていくリーダーというよりは、
他のメンバーの精神的な支えとしてユニットの目指す方向を共に考え、
メンバーの肩にそっと手を置きながら一緒に歩んでくれるようなリーダーが似合います。

百合子と桃子を一歩離れたところから見守っていた彼女は、
仲間やPから貰った勇気で一歩前へ進めたことで、
そんなリーダーに成ることが出来たのだと思います。

僕も担当として、このみさんの成長した姿がとても嬉しいです。


おわりに(ミリオンライブのコミカライズとしてのBNS)

ミリオンライブを知って数ヶ月の僕が語るのは恐れ多い部分もありますが、
ミリオンライブはアイドル達が"仲間と共に"トップアイドルを目指して進んでいく物語だと思っています。

BNSでもそれを象徴するシーンはいくつも出てきます。

自分が苦しい時には仲間が、仲間が苦しい時には自分が、
彼女達はお互いに思いやり、助け合いながら進んでいきます。

Fleursの3人がソロ曲を歌う際も、他のメンバーに向けて歌っていましたよね。
自分の姿を見て喜んで欲しい、という願いを込めて。

そんな関係を築けたFleursは、
この先どんな困難も乗り越えていけると思います。

"いつもそこには仲間がいる"、
BNSは、ミリオンライブのそんなメッセージが伝わってくる漫画でした。

僕はそんなBNSが大好きです。

そして最後に、
忘れてはいけないのがPの存在です。

BNSにおいても、
アイドル達はアイドルを志すきっかけとなったPの言葉を大切に胸に秘めています。
迷った時、アイドルとして成長できた時、この場所にいられてよかったと感じた時、Pのその言葉を思い出します。

その期待に相応しい自分で在りたい、と。

そんな思いを胸に、Fleursは、彼女達はこの先も進んでいくのでしょう。
いつかトップアイドルになる日を夢見て。


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