GGJ2020が終わりました

ギネスブックにも認定された世界最大のゲームジャム、GGJ2020のヒューマンアカデミー秋葉原校で運営をしながら、自分も片手間にゲームを作っていました。

今回のテーマ「Repair」を自分なりに解釈して、「Repairすべきは日本社会だろう・・・」と思いつき、ビルから降ってくる妖精おじさんを現役世代が金の力で天に還すというゲームにしました。Unity PlayGroundといらすとやの素材を使って、2時間くらいで作りました。コードは一行も書いていません。まったく、すごい時代になったものです。

実際、GGJが日本に上陸した8~9年前は、この程度のゲームですら、48時間で完成させられないチームがありました。自分がGGJ2012で作ったゲームをみればわかります。3人で作ったにもかかわらず、ずっとシンプルで、しかもバグが残ったままでした。

というわけで、昔は48時間でゲームを作ること自体がチャレンジでした。しかし今やクオリティさえ無視すれば、一人で1~2時間でゲームが作れてしまう時代です。こうした中、大勢の参加者が一ヶ所に集まり、48時間かけてゲームをチーム制作する意味とは何でしょうか? 

当然ながらそれは、「みんながそれぞれのスキルを持ち寄って集団制作することで、一人では作れない高クオリティのゲームや、ボリュームのあるゲームが作れる」ことであったり、「まわりのチームから刺激を受けてモチベーションが高まる」ことであったり、「プロのスゴ技から学ぶ」ことであったり、「学生を指導することで暗黙知が形式化する」ことであったり、他の参加者と交流することであったり・・・まあ、いろいろあるわけです。

こんなふうに一人でゲームが作れる時代だからといって、チーム制作の意味が失われるわけではありません。それどころか、個々人のスキルが上がることで、もっと完成度の高いゲームが作れるようになる。そして、そこで得た知見が個々人のスキルアップにもつながる。こんな風にポジティブフィードバックを回していく上でのブースターになることが、ゲームジャムなどのイベントには求められているのだと思います。

とはいえ、大勢で作るとそのぶん、チーム内で人間関係の不協和音が生まれたり、進捗が食い違ったり、作業がロールバックしてしまったり、企画がいつまで経っても固まらなかったりと、それ相応のリスクも発生しますよね。これすなわちリスクとリターンの関係・・・奥が深い・・・。

閑話休題。そうした視点で今年のヒューマンアカデミー秋葉原校会場を振り返ると、明らかにレベルが上がったなと感じることがありました。

第一にゲームジャム本来の「ジャズのジャムセッションのようにアドリブ感を活かしたゲーム開発をする」チームが出てきたこと。今まではゲームジャムといいつつ、実際には完成させるだけで精一杯で、着地点の見えない中を手探りで進めつつ、思ってもみなかったゲームにまとめあげる、といった要素は(自分が運営に係わった中では)あまり多くありませんでした。しかし、今回はそうした実験的なチームが登場してきました。

また、外国人参加者と言語の壁を越えたチーム開発が行われることも、普通になってきました。Google翻訳などを駆使すれば、言葉の壁を越えてゲームが作れることが体験できたことは、こと学生参加者にとっては新鮮な体験だったようです。企画会議や中間発表といったポイントだけ参加し、あとは自宅作業で進めるという参加者が見られたことも、興味深い動きでした。48時間参加するのは大変でも、こうした参加の仕方であれば、もっとやってみたいと思う人が増えるかもしれません。

他に運営面では前回の反省もあり、フォアグラゲームジャムをめざしました。おにぎりやサンドイッチなど、いつでも手軽につまめる軽食を大量に用意して、自分の好きな時に好きなタイミングで、作業の手を止めることなくゲーム作りができる環境を用意した(フォアグラのように食べながらゲームを作る)、という意味です。実際、中間発表(二日目の夕方)の時にピザを用意して交流タイムを作ったくらいです。経費も削減できて一石二鳥でした。

ただ、交流タイムの時にピアレビューの時間も設けたのですが、なかなか上手くいきませんでした。1泊2日~2泊3日のジャムだと、みんな作るのに集中してしまうので、スプリントを切って制作と試遊を回転させることが難しいですね。むしろ5日間くらいかけて9時~5時で実施し、毎日終了時に試遊をしてピアレビューをする、くらいにするとうまくいくのかもしれません。

というわけで今回のゲームジャムはこれで終わりましたが、8月24日に大阪でゲームジャム国際学会ICGJが開催されますので、ぜひこちらも注目いただけると良いかと思います。また、GGJ以外にもさまざまなゲームジャムが開催されていますので(自分もそのうちの幾つかをお手伝いする予定です)、ぜひ足をお運びいただければと思います。

最後になりましたが会場を無償提供いただいたヒューマンアカデミー秋葉原校様、協賛いただいたゲーミフィジャパン様、信州油屋清右衛門様、オルトプラス様、ゲームクリエイターズギルド様に、改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。

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