紺野莉多

探究と、紡がれる言葉たち。主なテーマは恋愛・運命・エロス・生死・スピリチュアル。読む人…

紺野莉多

探究と、紡がれる言葉たち。主なテーマは恋愛・運命・エロス・生死・スピリチュアル。読む人の運命を加速させる恋愛小説「The story is Love」連載中。

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1. Yurika - Prologue -|読む人の運命を加速させる恋愛小説

あらすじ一人上京し看護師として働く友利花はコロナパンデミックという過酷な状況の中にいた。「仕事もプライベートもちゃんとしたい」と奔走していた友利花だったが、結婚も考えていた交際相手に浮気をされ深く傷ついてしまう。 その彼を忘れようと新しい恋に動き出す友利花の前に現れた二人の男性、直樹と洸太。 友利花に想いを寄せながらも『優しさ』が故に苦戦する直樹、既婚者でありながら友利花と惹かれ合う洸太。 それぞれの過去と苦悩を抱えながらも、3人は出会いを機に新たな自分へと導かれていく。運命

    • 名もなき、形なき、概念なき、言語なき、キミへ。

      もう頑張るのは疲れたから、全部キミに任せることにするね。 もう自分で選ぶのは疲れたから、全部キミに任せるよ。 何が僕の幸せなのか、その幸せにどうやったら辿り着けるのか、全部、全部——— キミに任せることにする。 考えすぎて、もがき過ぎて、疲れてしまった。 どこに行っても答えはなく、どれだけ頑張ってもそれには辿り着けず、自分が今どこにいるのかも、どこに向かっているのかも、自分が今、止まっているのか、動いているのかすら、わからないから。 全部、キミに、任せることにした

      • 弱くてもいい

        弱くてもいい 情けなくてもいい 泣いてもいい 怖がってもいい 不安になってもいい 強くなくてもいい もしそれがあなたなら それがあなたなのだから

        • あとがき

          今までの人生で、「小説を書きたい」とも「小説を書こう」とも「小説を書ける」とも思ったことはありませんでした。 あれは2024年の1月。本当に苦しかったあの時、今まで積み上げてきたものが音を立てて崩れ去ってしまったあの時、ふと「小説を書こう」と思い立ちました。それは理由なく、私のもとに降ってきました。 この小説は、私にとって、カタルシスでした。 書くことによって、私は私を一度私の外へと追い出し、物語の中で生き生きと———時に停滞した雰囲気の中で———鼓動させ、そして読むこ

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        1. Yurika - Prologue -|読む人の運命を加速させる恋愛小説

          20XX年7月19日|読む人の運命を加速させる恋愛小説

          <<前回話 「ぼくたちの不思議な出会いを小説にしてみよう」 このアイディアは、ふと降ってきたよね。ふたりの間に。 ヒラヒラと風に乗って空から降りてきた白羽根のよう。それをふたりで、互いの両手を重ね合わせて、そっと受けとったんだと思う。 まだ何も始まってもないのに、もうそれだけでぼくはとてつもなく嬉しかった。そしてそれは、きみも同じだったよね。 ぼくが物語を紡ぐたび、きみは真っ先にそれを読んで、そして大喜びした。ぼくはきみに喜んでほしくて、「すごいね」と褒めてもらいたくて

          20XX年7月19日|読む人の運命を加速させる恋愛小説

          21. Yurika|読む人の運命を加速させる恋愛小説

          <<前回話 東京の夜は明るい。ビルと、車の灯。 今から私は、直樹さんに会いに行く。そこで私は、告白される。 今私は、分岐点に立っている。 目の前には二つの分かれ道。 標識はない。地図もない。誰もどちらが私の幸せなのか、教えてくれない。 直樹さんは、私をきっと、連れて行ってくれる。 誰もが祝福してくれるあの幸せへ。 私は夜空を見上げ、星を数える。 ———その時、ポケットの中で、スマホが振動した。 画面を見て、私は夜の空気を大きく吸い込む。 私はゆっくりと、スマホを耳

          21. Yurika|読む人の運命を加速させる恋愛小説

          20. Kota|読む人の運命を加速させる恋愛小説

          <<前回話 ———東京。 僕が家族と住むマンションは東京と埼玉の県境にある。 16階。 ベランダから見渡せる景色は、川を境に手前が埼玉、向こうが東京だ。 東京の夜は明るく高く、埼玉を川の向こうから見下ろしているかのようだ。 僕は今、34歳。 大学を卒業し、大手企業に新卒で入社した。 全て、うまくいっていた。 もちろん困難はあった。それでも僕は社内表彰を何度か受賞し、その後新規事業の立ち上げを任された。責任者として。 「期待しているよ」 そういう言葉を何度もかけられた。

          20. Kota|読む人の運命を加速させる恋愛小説

          19. Naoki|読む人の運命を加速させる恋愛小説

          <<前回話 部長がボクのことをチラッと見る。 「部長、すみません。今日は定時で帰ってもよろしいでしょうか?」 ボクは今日、出勤してすぐにそう聞いた。 今月は四半期末、そして今週は月末最終週。この3ヶ月で一番忙しい1週間。 そんな中、ボクは部長にそう願い出た。 部長は少しばかり驚いた顔をした。ボクがこんなことをお願いするのは初めてだからだ。けど部長は何かを悟ったような顔をして、「おお、いいよ」と言ってくれた。 今夜、ボクは友利花さんに、告白する。 今日は一日中ソワソワして

          19. Naoki|読む人の運命を加速させる恋愛小説

          18. Yurika|読む人の運命を加速させる恋愛小説

          <<前回話 ふぅ、疲れた。 私はパソコンから目を離し、腕を持ち上げて大きく伸ばす。 それから力を思いっきり込めて、一気に抜く。 腰が痛い。 看護師の仕事を始めてから腰痛持ちになった。子どもたちを抱きかかえることも多いから。 時計は夜の11時20分を告げていた。 もう少し、頑張りたい。このシナリオは書き切ってしまいたい。 なんとなく始めたシナリオライターという仕事。 洸太さんはすごく、喜んでいた。より私らしくなっていると言って。 洸太さん——— 私はスマホでLINE

          18. Yurika|読む人の運命を加速させる恋愛小説

          17. Naoki|読む人の運命を加速させる恋愛小説

          <<前回話 「もしもし」 友利花さんの声。 あれ?なんか、違う。 「もしもし。ごめんね、遅くなっちゃって」 「いえ、大丈夫です。私の方こそすみません。急に電話したいなんて」 「ううん、大丈夫だよ」 もともと友利花さんとは明日電話する予定だったけど、仕事中、友利花さんからLINEが来ていた。 「直樹さん。急にすみません。今日の夜、電話できますか?」 ボクはそれを見てなぜかドキッとした。 嬉しさとは、違う。 友利花さんは何も喋らない。 「あ、この前はピクニックありがとね。楽

          17. Naoki|読む人の運命を加速させる恋愛小説

          16. Yurika|読む人の運命を加速させる恋愛小説

          <<前回話 仕事の支度を全て終えた私は、コーヒーを飲みながら洸太さんからの電話を待つ。 嬉しさと、悲しさ。期待と、後悔。 洸太さんとの関係を考えると、色々なものがあって、ありすぎてて、絡み合って、どうしようもなくなる。 私はそれを、どう解いていいのか、わからない。 声には、一人ひとり違う周波数みたいなものがあるのかもしれない。 洸太さんに出会うまでは、洸太さんの声を聞くまでは、声が———その周波数のようなのが———私にとってこんなにも大切な要素だなんて知らなかった。 洸太

          16. Yurika|読む人の運命を加速させる恋愛小説

          15. Yurika|読む人の運命を加速させる恋愛小説

          <<前回話 春は、苦手だ。 嫌でも色々なことを思い出してしまう。 私は沙織にLINEを送る。 「今から行くね」 同時に、洸太さんからLINEが来る。 「直樹さんとのお花見、どうだった?」 洸太さんは本当に不思議なタイミングで連絡をしてくる。いつも。 「楽しかったですよ」 そう送りスマホをポケットにしまおうとすると、また通知が来る。 「なんだ〜、朝まで直樹と一緒にいればよかったのに〜」 このテンションの沙織はもう酔っているに違いない。 私はクスッと笑ってスタンプだけ送る。

          15. Yurika|読む人の運命を加速させる恋愛小説

          14. Naoki|読む人の運命を加速させる恋愛小説

          <<前回話 「友利花さん?」 「はい?」 「どう思った?」 「え?何がですか?」 「ハハハッ」 ボクは笑う。 「あ、ごめんなさい。なんかボーッとしちゃって」 「大丈夫だよ」 「ほんと、ごめんなさい」 「大丈夫」 ボクは確かめるように、もう一度言う。 ボクはこの前読んだ東野圭吾の『変身』の感想を友利花さんに聞こうとしていた。友利花さんも昔、読んだ事があるらしい。 冬から春にかけて、変わったことが3つある。 一つ目はボクが小説にすっかりハマってしまったこと。友利花さんにオスス

          14. Naoki|読む人の運命を加速させる恋愛小説

          20XX年4月19日|読む人の運命を加速させる恋愛小説

          <<前回話 花粉症、大丈夫? そう聞くときみはいつも「私、花粉症じゃないですよ」と鼻をムズムズさせながらなぜかムキになって答えてたよね。「病は気から」って言って。 それを聞いてぼくはいつも笑ってた。 きみといると、不意に不安になることがあった。きみがふっと消えてしまいそうな、いなくなってしまいそうな。 そんな気配を感じることがあって、ぼくはとても怖かった。 ぼくの過去が、そうさせていたのかもしれない。 ぼくはきみとのつながりの深さを確かめたかったのだと思う。だからぼく

          20XX年4月19日|読む人の運命を加速させる恋愛小説

          13. Yurika & Naoki

          <<前回話 新宿の夜はしんしんと冷えていた。 ビルを出て吐く最初の息が真っ白に浮かび上がり、直樹はその寒さを知る。 「結構、冷えるね」 直樹は視界の隅で友利花を捉えて言う。 「そうですね」 「電車、だよね?」 「はい」 「じゃあ駅まで一緒に行こうか」 「はい」 新宿の夜は明るい。行き交う人の後ろ姿は、頭から足までくっきりと見える。 楽しそうな横顔たち。 直樹は妙な感覚に囚われていた。何か、忘れ物をした感覚。 「直樹さん」 友利花は立ち止まってそう言った。 「ん?」 直

          13. Yurika & Naoki

          12. Yurika|読む人の運命を加速させる恋愛小説

          <<前回話 心臓が、バクバクいってる。 ふぅ・・・ 少し自分を落ち着かせないといけない。 私は鏡の向こうの私を見つめる。 何だか本当に、いろんなことが起きた。 たった1時間半の、直樹さんとの食事の中で。 胸の辺りが、宙に浮いている感じがする。足が落ち着かない。何だかフワフワと・・・ 私はスマホに目を向ける。 「友利花さん、ごめん。今、電話できますか?本当にごめん」 洸太さんからメッセージが届いた。数週間ぶりに。 洸太さんから、メッセージが、来た。 私は鏡の向こう

          12. Yurika|読む人の運命を加速させる恋愛小説