椿屋四重奏の宵の夢

前回、椿屋四重奏二十周年のライブに行った気持ち悪い感想を書き殴ったものの、まだまだ怨念は残り続けているので、ワンマンライブでの曲の思い出をただただ書き綴ろうと思う。
私は音楽の素人なので、感じた雰囲気なんかはデタラメなものばかりだと思う。だが自分のための記録なので受け入れずとも否定しないでほしい。



※ネタバレ注意!!!



M1 プロローグ
暗い照明のなか5人が登場し、各々が楽器を手にした後、イントロのギターで皆が息を呑んだ(ような気がした)。
私は東京か前よりの下手側、大阪が中央よりのかなり前の方で見たのだが、
ホールで見た時のイントロブレイクのスネアの音の大きさとリバーブの響きに震えた覚えがある。
そして緊張しながら曲のスタートを迎え、やっと現実を受け入れたのかAメロで泣いた。ずっと憧れていた椿屋四重奏をようやく見れたのだから。
1番サビが終わり、やっとこの気持ちを伝えられるのだと言わんばかりの拍手。その大きさにも感動した。
ギターの掛け合いは素晴らしかった。常々思っていたが、音数の多く複雑な方をボーカルが弾くのってすごくない?音源にはない(多分ライブでは出癖の定番だと思うのだが)リフなんかも聴けて嬉しかった。
あの続きをまた始めるよ、本当に始めてくれてありがとう。

M2 幻惑
イントロで自然と手が上がってしまう。この7音でぐっと気持ちを掴むのは本当にずるい。
複雑なリズムでも崩れずに熱を持ったまま進み続けられるのはドラムあってこそ。エネルギッシュで本当に気持ちが良かった。
最後、サビがずっと続いてアウトロ(フェードアウト)になるけれど、ずっとやってくれと思っていた。

M3 LOVER
緊張感あるリフからオールイン。イントロのギターの音が好きなので両日とも位置的にあまり聞こえなかったのが残念。あとピックスクラッチを見逃したのも残念。
これこそ緩急がすごい曲だと思う。サビが終わってまたギターリフだけになってすっと小さくなるはずが歌詞もあいまってずっと息苦しいまま。でもこれがこの曲の良さだと思う。
あとCメロはメロの運びが少しだけ讃美歌のような感じがする。一瞬だし全然救われない。そして大サビに向かう。そこのフィルインのタム回しが猛烈に好き。
最後はやはりギターのみになって終わるが、圧倒されるってこういうことなのかという感じ。

M4 手つかずの世界
イントロからもうとても好き。裏でずっとメロが入るのが気持ちいい。あとこの曲の無駄のなさすぎるバッキングがどうしようもなく好きなのでギターを練習する日が来たら絶対にこれを弾けるようなかっこいい人間になりたい。
この曲は個人的にコンパクトな印象があって、それはシンプルな音の幅とかタイトにきっちりとハマるリズム感とかによるものだと思うのだが、ノリやすくてすごく好き。

M5 成れの果て
イントロからワクワクする。ブリッジミュートで刻まれるリズムが心地よいのとドキドキするのとで息がもたない。
Bメロから刻みが少なくなるが、やっぱりサビ前の成れの果てで一気に開放されて手が上がる感じ。最高にかっこいい。
全体的にドラムが大爆発していたイメージがある。デカすぎるとよく言われていたが、デカすぎてくれてありがとう。

M6 導火線
さっきまでとは雰囲気が異なり、ハンドマイクを手に静かかつ情熱的な曲が展開される。随所にキメがあるが、キメつつブレずに曲が進んでいく。気持ちよく曲と一体化できるようなそんな雰囲気。

M7 共犯
私が椿屋四重奏の中で一番に好きな曲だ。ソロでも聴いたことがあったが、当時のアレンジのままで、というところですごく待ち望んでいたのだ。見てみたかったメンバーによるコーラスも聴けて大満足。ギターソロのあとのフロウはアドリブ感あるものだが、ここに長年の積み重ねというか、年月をかけてさらにさらにレベルが上がっているんだと感じた。大阪では最初のサビで歌詞が爆散して顔を見合わせてニコニコだったのを目撃した。仲良し。

M8 紫陽花
ストラトによって奏でられるアルペジオの音色に泣いた。特別たくさん聴いていた訳ではないのに何故か懐かしくなってしまったのだ。
その懐かしさからか、はたまたマイクスタンドにより自由になった両手の表現のせいか、落ち着いて歌詞をしっかり聴きながらみることができた。元々椿屋は曲そのものが好きで歌詞をあんまり意識して聴くことがなかったのだが、今回のライブを機にすごく歌詞を意識するようになった。歌詞についてそこから感情移入してどうこう、みたいなことはないのだが、シンプルにいい歌詞だと思いながら聴いていた。
あと忘れてはいけないのがアウトロの前のベース。少し重ためだがハネるウォーキングでなんだか名残惜しい感じがしてしまう。

M9 アンブレラ
ギターのイントロを聴いて、この曲はレスポールだったのかと初めて知って驚いた。あまり意識したことはなかったが。先ほどより少しテンポが速くなって華やかな良さがあるバラードという感じがした。元々キーボードも入って煌びやかだが、最後サビでもう一段階上がる感じ。全体もぶわっと盛り上がってまとめたあと、ギターで締める。曲の構成が素晴らしい。

M10 シンデレラ
アコギが運ばれた時に察した。この曲も少しコンパクトというか、箱を開けてその中でネジ式の人形がぐるぐると回っている舞台を見るようなそんな印象がある。精巧に作られた綺麗な物体を鑑賞する感じ。
意外にもすぐに曲が終わってしまうイメージで、もう気づいたらここ、もう気づいたら…の連続だった。滑らかに曲が進んでギターによるユニゾンのメロディがくる。なんて綺麗なんだ。そこからサビがまた始まってより一層切なさに拍車がかかる。
この曲はピアノのメロディが綺麗で印象的だが、裏の楽器が細かく刻んでいるおかげで間延びせず意外にもテンポ良く聴けるのだ。

M11 小春日和
アコギのフレーズから始まるイントロ。続いて他の楽器が入ってきて皆さん大好きなワイパータイム。東京はフロントマンに先導されたのでやや遅めのスタートだったが大阪では通常速度で皆ぶん回していた。
全体的にキラキラしていた。でもどこか切なさもあって、それも全部受け止めて最後まで駆け抜ける、そんな感じ。最後のサビでは歌いまわし方を少し変えてみたり、楽しそうな様子が伝わってきた。あとライドのカップ音が綺麗すぎで怖い。

M12 不時着
大阪ではこの前に印象的なMCがあって、それを踏まえて聴くとただでさえ名曲なのにより感動的なものになってしまった。
この曲はドラムの存在感がすごい。大音量で、時々細かいフィルのフレーズが入ったり、力強いリズムがあるからこそこの曲はより素晴らしいものになる。
この曲もどこか讃美歌というか、祈りの曲のように聞こえる。コード進行とか歌メロとかギターソロのトリルとか。ここがどこであろうと僕はかまないという歌詞があるが、救済のようだと思う。大阪はさらにこの部分にリアルさを感じた。

M13 踊り子
またもや雰囲気が一転して踊れ踊れ踊り子。煽りで、イントロのギターで、テンションがガンガン上がっていく。シンプルな構成にかき鳴らされるギター、シンプルにかっこいい曲である。絶対に戻ってくる安心感はあったものの、ギターソロでマイク前を離れて大丈夫なのかと少し思ってしまった。最後までロックでかっこよかった。

M14 フィナーレ
続け様にギターから入りテンションを上げていく。本人も言っていたがこの曲は難しい。ただでさえ早いのに安定したペースを保たないといけない。キーも高い。
サビで4分がベースになるためガンガン押し寄せてくるが、またAメロで細かいリズムに逆戻り。この振り回される感じがとても好きであるし、前後してしまうが1A(最初)に時々織り込まれるギターのフレーズが面白くて好きだ。
間奏の最後もギリギリまで盛り上げて、歌とギターだけになってさらにそこからもう一度ギアを上げていく。

M15 マテリアル
上がりきったボルテージを一旦落ち着かせるバラード。キーボードがすごく綺麗で感動した覚えがある。
やっぱりバラードはしっかりと歌詞を聴いてしまうもので、色々と考えさせられてしまった。歌詞の解釈は個々人が好きにしていいと思うし反対に正解もないと思うが、それぞれがそれぞれの想いを乗せて聴いて受け止める曲だと思った。

M16 ランブル
東京ではご指名(指差し)されて、大阪では雄叫びをあげグーサインをいただいて始まるイントロ。元々かっこいい曲ではあるがあんなにライブ化けするとは思わなかった。原曲より早め?でもそれが疾走感あってすごく良かった。サビ前に煽りもあって、バンドとしてみるなら今回のライブの中で一番好きだったかもしれない。Bメロの広がりからのサビ、観客から熱量を出させてそれを集めてまたぶつける、素晴らしいバンドだった。

M17 螺旋階段
この曲もかなり重度に好きである。その昔ソロのライブの時にギターをかき鳴らしながら歌った幻を見たような気がするのだが、今回はハンドマイクで魅せる魅せる。大阪ではおおー?っと観客から期待の声があがったのが面白かった。
複雑なバックのメロディラインにボーカルがのって、何がどうなってるのかわからないのだがとにかくかっこよかった。

M18 いばらのみち
ドラムの印象的なフィルインからスタートテンションがおさまらない。サビで一斉にあがる手にもいかに愛されているのかがわかる。
私はこの曲をきっかけに椿屋四重奏を知った訳だが、椿屋の看板曲の一つでもあると思っているし案外ソロの時でも演っていたように思う。だが、今回オリジナルメンバーを迎えての演奏・当時のアレンジということで、疾走感というか、スピードから感じられる必死さのようなものがとてもヒリヒリして楽しめた。

M19 恋わずらい
こちらも皆大好きな恋わずらい。上がる手にハンドクラップと、会場にいる皆が各々に楽しみながら参加していたように思う。定番とはいえ、ギターソロの時の早めのクラップの勢いと大きさにちょっと笑ってしまった。私も必死に叩いていたけど。
Cメロは色気で有名だが、吹き出しの〜の部分を大阪では間近で見ることができて本当に危なかった。表現力が増した今だからこそすごいものを見てしまったという感情しかない。
最後のサビで一度落ちる時、ソロだとフェイクを伸ばすようなイメージがあったが、今回は割とあっさりめに、原曲と同じくらいの感じで次にうつったので、椿屋四重奏の曲をやってるんだなと強く思った。

M20 空中分解
恋わずらいの最後に締めずに音が鳴らされ続けている中、ギターを手にし、空中分解という叫びから始まるこの曲。曲自体が短いが温まりまくった会場とボルテージの高さのせいで余計に一瞬で終わったような感じがした、というか一瞬だった。
最後にイントロのリフを繰り返し、3音で終わるところを引っ張って引っ張って引っ張って終わったのだが、もっと続いてほしいし何ならイントロからもう一周してくれても良かった。楽しい時間というものはあっという間なのだ。

M21 群青
アンコール1曲目。アンコールの時は機材チェックのためローディーさんが機材の調整に舞台上に上がってくるものだが、東京の時にFenderの白いジャズベースが暗がりに見えたものだからその時からエッしか言えなくなった。
そしてSEが流れ出し作務衣姿の3人が登場。暗がりからギターの音が流れ青い照明がつく。椿屋四重奏そのものがそこにいたのだ。私が憧れていた、今まで逃していた、今の椿屋四重奏の3人がいたのだ。
東京は席の都合上、ベースを弾くその前にギターをかき鳴らし歌を歌う人がいて時々ぴょこっと動く左足しか見えなかった。一瞬恨みはしたものの、間奏などで顔がチラチラ見えて本当に嬉しかった。
安定してロー感のある曲だが途中に変拍子が入ってきたりしてちょっと複雑な構成になっている。復活定番曲なのかもしれないが演ってくれて本当に嬉しかった。

M22 かたはらに
なんとリクエスト曲。色々と考えてしまう。実は物販に並んでいた時、この曲が聞こえてきたのだ。時間帯的にリハをやっていてもおかしくなかったが予想外の曲だったので戯れの音出しが音源チェックか何かなのかと思っていた。もちろん私が正解を知る由はないが、どうかリハーサルをやっていてほしい。
シンプルに3人で奏でる曲であり、テンポも遅いからじわじわと響くものがある。今の3人でこの曲を演奏してくれて本当に感謝しかない。

なお、M21・22は大阪はサポートメンバーでの披露だった。とんだ誕生日プレゼントとのことだが、ありがとうの気持ちで一杯だ。

M23 君無しじゃいられない
イントロで大きくクラップ、ジャンプ、とにかく楽しい時間だった。それも会場と一体となって、メンバーそれぞれとも一緒になって楽しむ。そして皆で君無しじゃいられないと叫ぶ。今の時期にやってくれて本当に良かった。もう少し早い時期だったら全力で楽しむことは出来なかったかもしれない。
椿屋無しじゃいられません。


最後に。
楽しかった、やってよかったという感想をきくことができて本当に嬉しかった。正直、ソロのライブで椿屋曲が一番盛り上がったりしたらしんどいだろうかと思っていたこともあったからだ。自分もソロの曲も好きだが椿屋の曲も好きなので分かりやすく盛り上がってしまった時があったかもしれない。
だが、今こうしたお祭りをして、楽しい思い出の一つになったのなら嬉しい。そしてまたソロの時にその時の今を歌ってくれたらそれはきっと素晴らしいステージになると思う。
またいつの日か五重奏でもあの3人でも椿屋四重奏の曲をやってくれる日がきてそれに立ち会えたら嬉しい。その日が来ても来なくても、私は檀家として居続けよう。

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