見出し画像

繊細と情熱のあいだに生まれた優しい友情|ペッポさんと娘のこと。

Ponte in Valtellinaでのフェスティバル、Un Ponte di storieでは、たくさん楽しいことがありました。その中でも、とりわけ別に書いておきたいと思ったことが、クレーマ在住のマルチメディア・アーティストのPeppo Bianchessiさん(以下ペッポさん)と娘のことです。

画像1

こうやって、マスク装着して消毒液も持って、電車を二つ、乗り継いで、4時間ほどかけて、到着したのはソンドリオ。山の匂いがする!とはしゃぐ母と一緒に、迎えに来てくれたダリオ氏の運転で、村へ。教会の前に車を止めて、着いたお宿はこんな素敵な佇まい。

画像4

到着早々、おうちの一部屋で、フェスティバルの講師陣が一堂に会し、夕食。とてもアットホームな雰囲気。そこに、やけに日本語ボキャブラリーが豊富なおじさんが一人。おかげで娘の緊張も一気に溶けた、そのおじさんこそがペッポさんでした。

翌朝、ダリオ氏は学校でのワークショップに出かけていき、娘と私は、ゆっくり起床。母はカプチーノが飲みたくて、BARを探そう!と二人で階下へ行くと、お宿の敷地内での展示準備をするペッポさんが現れ、ちょっと見においで〜、と入れてくれました。

画像5

カプチーノが飲みたいので、一旦外に行ってきます、と言うと、じゃぁお母さんが珈琲飲んでる間、これ読んでなよ、と娘に貸してくれたのが、彼のこの本でした。

画像6

母がクロワッサンとカプチーノに気を取られている間、しっかり本を読みきった娘は、嬉しそうにペッポさんのもとへ戻り、展示設営のお手伝いを始めました。

画像7

まだ出会って半日も経っていないにも関わらず、二人の間には既に知り合いだったんじゃないのかと思うくらい自然な空気が流れている。

そもそも娘はいつも父ちゃん母ちゃんに色んなところに連れて行かれて、色んな人に会うのに慣れてはいますが、大人と子どもとしてではなく、一人の人と人として、対等に娘の相手をしているペッポさん。むしろ大人の私のことはそっちのけ!笑

そんなわけで、母がボーッとしていると、そういえば、こっちに庭もあるんだよ、と教えてくれました。

画像8

わ〜、素敵な中庭と山の景色。この日は、ペッポさんここでワークショップも。

画像2

そうして、フェスティバル1日目が無事に終わり、参加アーティスト達が集結、地元の名物レストラン Ristorante Cerere での食事。ここの主のおじさんもキャラが濃く、昔ながらの爺さん風で(笑)娘は目が笑ってない、と終始怖がっていましたが、きっと愛情深いおじさん。たくさんテーブルを並べて囲む食卓と、おじさんのキャラも相まって、知らない親戚があっちからもこっちからも集まって食事をしているような、ちょっとワクワク、ちょっとビクビクな気分。

初日の夜、あまり社交的ではない父・母の側で(爆)彼女なりに初対面の大人と仲良くなろうと、ながーいテーブルに座っているみんなの似顔絵を描いた娘。

画像9

これで家族全体への親近感アップ。彼女のこういうさりげない心の使い方に、本当に、いつも心洗われる両親です。見習わなくてはいけません。。ありがとう。

ペッポさんは、これはしてやられたなり、という顔つき。しかし嬉しそう。それからというもの、ご飯を待つ時間は、ペッポさんのノートにペッポさんのペンを借りて、一緒に絵を描いたり、ダジャレみたいな言葉遊びで挑戦したりする最高の時間に。そこまでたくさんお喋りするわけでもないけれど、一緒にいるのが心地良いんだろうな、と感じられて、ヘッダーの写真も、まさしくそんな二人の間に生まれた、ペッポさんが描いてくれた額の中に、娘が似顔絵を描いたコラボレーションなのです。

二日目の夜、ペッポさんの展示のオープニングがあり、ようやく私も彼の作品をゆっくり拝見。そして、最新作の『La notte della balena(くじらの夜、ですが、くじらと出会う夜みたいな印象かな)』をきちんと読むことができました。

画像11

ようやくちゃんと読んで、私もダリオも、涙しそうになったことは、娘には秘密。そうか、だからうちの娘と気が合うんだ、と二人とも、腑に落ちた瞬間でした。

とても温かく、繊細な、愛と哀のある、お話と、その人。

こんな人が世界に存在して、そして私達が彼に出会えたという奇跡に感謝。

どうか、日本でも出版されますように。

そして、最終日、ペッポさんのリュックから出てきたのは、まだ新しい、吹き出しテンプレート付きのCOMIC NOTEBOOKというもの。自分で漫画を作ってごらん、次に会うときに、見せて。とサイン、日付、メッセージを入れて、プレゼントしてくれました。

画像10

これはまだ最初の1ページですが、学校の休み時間でも、気が向いたら続きを描いたり、楽しんでいる様子。

私も、家に帰り、ようやくペッポさんの作品世界を垣間見始めました。一世を風靡した辻仁成・江國香織さんの『冷静と情熱のあいだ』が月刊紙で発表されていたときの挿画を担当していたんだよ、と言われて、へぇぇ!と思っていましたが、こんなミュージックビデオから

野坂悦子さんによる翻訳の紙芝居まで

とにかく幅広い活動をされていますので是非HPをご覧ください。コンテンツが色々あって、かなり楽しめます。笑

でも、やっぱり1番のおすすめはこちら。

イタリア語で、お話は分からないかもしれないけれど、この朴訥とした調子の、ペッポさんの語りを聞いていると、どこかノスタルジックな気持ちに。そして、くじらが月明かりの元に現れるシーンの絵の美しさに、全てを懸けて、本を生み出したアーティスト魂を感じます。一人の人としての哲学と情熱と、優しさの届くパフォーマンスがしたいと思う私にとっても、特別な出会いでした。

寝る前に、ぜひ。お楽しみください。

・・・・・

PS:2週間後、娘の念願叶って、クレーマで、ペッポさんと再会、日本人の奥様とはじめましてをして一緒にお昼を食べれたことも、良い思い出です。奥様曰く、「帰ってきてからずっとライがライがって言ってました」 相思相愛?みたいで良かった!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?