園芸店での出会い
小さい株の冬の花を買い、窓際に吊るしてあるバスケットに生けるのが、寒い季節の中で味わう小さな楽しみのひとつになっている。
案外、住んでいる地域には園芸店が多いようで、少しの暇と体力があれば足を運んでいる。
先日訪れたお店は、全てDIYで建物を造ったと聞いており、拘りの強さを身に染みて感じたが、その情熱は棚に並ぶ植物たちにも充てられていたようだ。
おそらく、1つ1つの株を丁寧に見極めて仕入れているのでは?と思ってしまうほどに、それぞれが魅力的な株で溢れていた。
同じ種類、同じ名前でも、本当に人のようにそれぞれ違った特徴がある。
例えばガジュマルやセロームなどは、根っこ部分の立ち方がひとつひとつ違い、人間のように仁王立ちをしていたり、足を組んで座っていたり、回し蹴りをしているように見えるものもある。
目の当たりにするまで予想が付かないことは好奇心をくすぐり、「どうしてこんな形になった?」と興味津々になる。
花においても、品種改良なのか元々多彩な顔触れなのかは分からないけど、今の時期は色とりどりのデイジー等のキク系の花が飾られている。
花を選ぶときは、今自分がときめく色、格好のものを真剣に選ぶ。
決して高い・安い、世話しやすい・しにくいの尺度は用いない。
こうして花を選んでいると、なぜかお見合いをしているような気持になる。
物言わぬ可憐な花、乱暴に手繰り寄せても文句ひとつ言わない花だからこそ、丁寧に向き合いたい。
この時、心に来たのはアフリカンデイジーの白い品種。
彼女は、花びらの裏の色がカフェオレのようなグラデーションをしている。
それが太陽光を透かした時は、優しく輝いて、夕陽を見ているような気持になった。
また、観葉植物もひとつ頂くことにした。
最近はこうしてPCを触ったり、寒さから来る心の落ち込みなどで、下向きがちだ。
ひとつ、ハンギングのできる植物を家に招くことで、折に触れて上を見るようになり、少しくらいは気も晴れるだろうと思った。
ハンギングが似合う=つる性で、都度その子を見たくなるような個性的な植物を探していた。
これには、マドカズラだ、とすぐに思った。
こうして家にやってきた、白いデイジーとマドカズラ。
マドカズラは、吊るされているバスケットの下にいる鉢植えのポトスから好奇な目で見られており、デイジーの横にいる大きなオーガスタ(170cm)は、体格が違い過ぎてあまり興味をそそられないのか、横目で少し彼女のことを見遣った後は、個人的な光合成に励んでいるような様子だった。
パキラは新入り二人については、未だ気づいていないようだ。
植物が植物に対して目を向けたり、何かしら思考することは勿論ないけど、こういった空想を思い浮かべるのは楽しいものだ。
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