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山でそぞろ歩く

たまにある、よく分からないほど動く一日がまたあった。
普段は動いたとしても近場への散歩程度なのだが、山を登り、歩き、重い土を運び、園芸に勤しんだ。

ふらっと行きたくなる峠がある。
十三峠と名のついたその場所は、展望駐車場では大阪平野を一望でき、近くには近畿自然歩道も通っている。

峠に車を停め、来た道(大阪平野)をしばし眺めた後、ふらふらっと山道を歩く。
やはりまだ寒いのか、ホトケノザは少し花を出す程度で、開花とは言えないが、むしろこれが仏様の静かな姿そのものだとさえ思った。
雪柳も、少しだけ花を付けていた。

道中、ほとんどが樹木のトンネルになっており、轍がその中をまっすぐに貫いていた。
静かで誰もおらず、大人しく囁く鳥の声はとても遠くまで響いていた。

なにも調べずに来て、歩けばどこへ繋がっているかも不明であり、もし何か猛獣に出会ったら最後、食われるか斜面に落ちるか…という緊迫が続いた。
この緊迫は、ここ最近で一番生きていることを実感させてくれた。

歩いていると頭が洗練されるようになってくる。
帰り道はまた欲望渦巻く街へ戻るから、そのストレスで清々しさを相殺されない程度に自然へ身を置くことにした。

「本来の自然」を存分に楽しんだあとは「作られた自然」を楽しんだ。
パールアカシアを人から頂き、その植え替えをしようと思っていたのだった。


大阪平野を望む。
梅田がどこへあるか、すぐに分かる。
道中、しばらくこんな調子の道が続いた。
暗闇へ入っては陽の中へ、そして暗闇へ。
この繰り返しが続いた。

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