見出し画像

上を見る、足元を見る

上を見ることが礼賛され、その上に居る人が見えやすくなっている。
街を歩いていても、「アゲていこう」や「今すぐ」など、追い立てるような文句を最近特に多く見かけるようになった。
そういった、要はぶら下げられた人参に反応するや否や、何かしらのお誘いやダイレクトメールに四六時中付きまとわれ、気づいたころには発信者のビジネスの虜になっているのが、お決まりの流れだ。
虜になり、喜んでお金を差し出すことが悪いわけではなく、知らない間に搾り取られていることが口惜しい。


良い意味でも悪い意味でも、自分の可能性を見出せる機会が増えたことで、欲も増え、上ばかり見、そして当たり前のように現在の自分を見事にこき下ろすことも多くなった。
素人目で見る限りではおそらく、上を見て欲を高ぶらせておいた方が、購買意欲も自然と高まり、経済的には効果があるのだろう。


こんな文化になってしまったからこそ、折に触れて踏みとどまって、着実に歩いていることを確認する。
それは、将来何かしら生活したい形へ足が向いているとか、もしくはもっと身近に、今日をじゅうぶん生きているかの確認でもある。
未来について空想することはよくあるけど、それならば尚のこと今が大事だと感じる。

現在地の再確認は、足るを知ることにも繋がると思う。


満開を終えた白梅と、
闇に沈みゆく空。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?