智烏有

巣立った許りの烏の御子がカーカーと哭いて呼んで居る
父ちゃんと母ちゃん何処へ行った
俺独り残された如何為りゃ良いと言うんだろう
御負けに兄弟何処行った俺迄も見捨ててさ
記念に貰った蚯蚓が一つ其れ添えも直ぐに
喰っちまったよ腹空く俺は何を為れば良い

こんな俺でも生きて行けるんだ都会に生まれた俺烏
烏の方が頭良いさ
彼奴等と来たら分別何て無いさ
だから斯うして利用為る丈
邪険に為れても俺等は生きる烏から見れば
些細な事さ気に為る丈無駄な事何だ

彼奴等で遊び公園で遊ぶ道路に胡桃を潰せ車
何時か逝く日が其れ迄に子を
其の為には彼奴等を利用為る丈利用為て
自分の子供に聞かせよう彼奴等転がせと
記念に渡した胡桃が一つ道路に落とすよ
彼の烏の子術を知れば独りで生きてく

本歌
吉田拓郎
「落陽」