2本目:『アパートの鍵貸します』

2018年2本目は、ビリー・ワイルダー監督『アパートの鍵貸します』をDVDで鑑賞。

たしか小学3年生くらいの頃『今夜、宇宙の片隅で』というTVドラマがやっていた。ニューヨークの街を舞台に、飯島直子、石橋貴明、西村雅彦の3名がひとつのアパートで共同生活を送り、やがて三角関係へと発展していくお話だったと記憶している。

視聴率的には全然振るわないドラマだったけど、僕はなぜかこのドラマが大好きだった。それは多分、ドラマの中でテーマにしている「ニューヨーク」「共同生活」「三角関係」どれもが自分がまだ知らない大人の世界を垣間見させてくれるものだったからだと思う。

そして、そんな大人の世界は、いつも少しだけほろ苦い。そのことが幼いながらの哀愁心を刺激して、憧れさせた。

少し大人になってからこのドラマのことをふと思い出し、調べてみると、ドラマの脚本家である三谷幸喜は、ビリー・ワイルダーの『アパートの鍵貸します』を参考にこのドラマを作ったということがわかった。

そんなことを久々に思い出して、ついに鑑賞。期待通りの、ほろ苦い話だった。

本作の主人公は、ニューヨークの保険会社に勤める真面目なサラリーマン。彼はある秘密の理由から重役たちに優遇されている。それは、「自分の部屋をラブホテルがわりに上司に貸していること」。ラブホテルがまだなかった当時、部屋を貸してくれる人はとても貴重だったようだ。その部屋で、重役たちは、浮気相手との逢瀬を楽しんでいた。

そうして部屋を貸すことと引き換えに順調に出世する主人公だったが、ある日、ひょんなことから、自分が思いを寄せるエレベーターガールが、ある重役の浮気相手であることを知るーー。

という、なんともほろ苦いお話。好きな女の人の浮気に間接的に関与していたなんて現実に起きたらしんどい。しんどすぎる。

でも、物語にはしっかりと希望がありました。どんな希望かはぜひ鑑賞を。こういう悲喜劇ものはやはり好きだなあ。そして、現在まで残っている映画なだけあり、シンプルだけどグッと心に迫ってくるものがある万人に向けた映画になっていた。

Twitter(@konishi36)もやっています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?