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何てことない忍ぶの日常〜悲哀こもごも授乳のおはなし〜

子が3ヶ月半になった。
2662gで生まれ、退院時は2548gだった彼女は、今や5880g。かぼそかった腕や足には立派な肉がついたのだけれど、それらのむちむちとした感触をたのしんでいるとき、ミルクだけでこんなにも立派に成長できることに感動してしまう。おとなはあまり意識することはないと思うが、わたしたち人間は立派な「哺乳類」というわけだ。
しかし、そう分類されているわりに、この授乳という行為には思った以上にトラブルが付きまとう。子を産めば母体に母乳は自然と分泌され、子は子で本能のようなもので上手にそれを飲んでくれる、と思って疑わなかった産前。まさか、ひとによって授乳の分泌が悪いとか、子にも飲むのが下手な子や上手な子がいるなんて!
産んでみないとそのへんは分からないので、出産でへとへと、慣れない育児でへとへとという中で初めて遭遇する身体の機能と折り合いをつけていかなければいけないのだ。
また、母乳の免疫獲得やSIDS(乳幼児突然死症候群)の防止などの利点にフォーカスしすぎる当事者又は関係者の存在により、分泌が悪いことを必要以上に責めてしまう母親は少なくない。中には、上記のような疫学的な観点もなく、ただそれを母性の象徴として崇拝し、悩める母親に「母乳は足りているの?」などと不躾な質問をぶつける輩もいるとかいないとか。
というわけで、授乳には悲哀こもごもが付きまとう、母親が直面する大きな壁のひとつなのである。

さてさて、忍ぶの話をしよう。
当初は直母すら難しかったミルクよりの混合栄養の育児、一時期600ml/日足していたミルクは、今では120ml/日まで減った。1週間あたり50〜60mlずつ、体重が問題なく増えているか確かめながら減らしていったのだが、なにかの相談の時に市の保健師さんにそのやり方を伝えると、「専門職に就いてる方ですか?」と驚かれた。
これは小児科医の森戸やすみ先生と産婦人科医の宋美玄先生が書いた「楽ちん授乳BOOK」に書いてあることを参考に実行したのだ。

というのも、授乳については出産後に助産師という専門職から様々な指導を受けることができるのだが、「混合栄養から完全母乳に移行する方法」を相談しても、具体的な移行方法を教えてもらえるわけでなく、「あまり母乳にこだわらなくてもいいからね」などとかえって心配され宥められてしまうのだ。こちらとしては母乳育児に固執しているわけではなく、ミルク代も浮くし母乳量が増える方法があれば知りたい、という程度のことだったのだが。
ということで、なかなか自分の接する人たちからは知りたい情報が得られなかったので、上記の本を読み漁ったり、助産師YouTuberの動画を片っ端から観たりした結果、「生後100日くらいまでは母乳は吸わせただけ増えるからとにかく吸わせる。それを実践したうえで子の栄養状態を見極めながら少しずつミルクを減らしていけばいい」という結論に達したのだ。
これを実行すること自体がいわば「孤独な戦い」というかんじで、体重の増えを心配する小池くんから「そんなにミルクを減らして大丈夫なのか」と心配されたり、頻回授乳のために目覚ましをかけて起きるているのを知った実母から「そこまでしなくても」と言われたりしたこともあった。しかし自分の仮説に基づき、周りの声をある程度無視して実行していった結果が上記である!
実はさいきん、子がミルクを嫌がるようになり、完全母乳に移行することもできるのであるが、800gの缶ミルクを開けてしまったばかりであり、勿体無いので様子を見ながらミルクを足しているのだ。
5〜6ヶ月から補完食が始まるとはいえ、哺乳とはまだまだ長い付き合い。知識を武器に気楽にやっていきたいと思っている。

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