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【住職の法話。考え方を少し変えるだけで、苦しい人生が、楽しい人生に】 親が作った家庭環境で、その親が育てる。親に似た子供が育つ確率が高くなるは、当然の事にて。

【7月20日投稿分】 躾(しつけ)は『する』ものではない。躾は『見せる』もの。

今日の投稿法話は、7月15日に投稿させて頂いた話(子育てに関するもの)の続きになりますが、昨今はニート(20代から40代の働かない男女)に関する相談も、急激に増加をしてまいりまして、拙僧がこれまでに相談を受けてきた、狭い範疇での事例ですが、そうなった要因(ニートになった)であろう、と思われるものを箇条書きにして、今回は紹介をさせて頂きます。これは100に満たない事例(拙僧が受けた相談)ですので、参考に出来るものだけを、参考にして頂けたらと思います。幼児、小学生を子供に持つ檀家の親御さん達には、今の内に、と事あるごとに、下記の話をさせて頂いております。

【要因1】
親が作った家庭環境で、その親が育てる。親に似た子供が育つ確率が高いは、当然の事かな。子供は、親が育てただけしか、育っておりませんもんね。「鳶(トンビ)が鷹(タカ)を産む」という言葉がありますが、鳶(トンビ)は鷹(タカ)は産みません。蛙の子は、やはり、蛙です。ただ、鷹(タカ)のような鳶(トンビ)が育つ事はありますが。子供は、親の所有物ではありません。人はその土地を縁にして生まれてくる事から「あなた(神、氏神)の子供を私に育てさせてください」と願いを掛けて授かったもの。よって、七五三詣りに赴くは「3歳まで、5歳まで、7歳まで、あなたの子供をこの様に育てました」と氏神さんへ披露に行かせてもらう行事にて。そして、披露の最後が20歳の成人式。この時「この人間(親)に、この子を預けて正解だったのかな」と神さんに思われん様にしなきゃ。どんな子も「この人間(親)なら、この子は育てられる」と、期待されて渡されたのだから。

【要因2】
その筋の専門家が、人間の人格は、物心が付いた頃から、義務教育(15歳)までの育ちを基礎として、16歳から20歳の間で確立していくと。が、この国の教育形態を見ていると、学校でも塾でも、先生の指導(言われるまま、されるまま)の下(もと)で勉強を。家に帰っても、先生の指導の下(出された宿題、課題)で勉強を。いつ、自主的に勉強するのか。指示され続けて(小、中、高)12年。出来上がった人間は、指示待ち人間。結果、自主的に動くを求められる社会に馴染めず、就職してもすぐに離職を。こんな子が過去に何人、親に連れられて拙僧のところへ相談に来た事か。その相談に来た大半が、男性(息子)にて。勿論、世の中はそんな子供達ばかりではないですよ。しっかりしている子は、しっかりしております。知識は学問から、その知識を活かす知恵は、経験からしか身に付きませんもんね。経験なき知識の持ち主は、ただの『物知りさん』でしかない。ただの『物知りさん』では、実践の役には立ち難い。

【要因3】
育てられた経験しかない者、育てた経験のない者は、どうしても大人になりきっていない様に見受けられます。子供を育てるというは、自我(親自身)を抑え、子供が成長するまで『我慢、待つ事』にて。また、親は『子供を育てている』と思っている様ですが、親も『子供から育ててもらっている』というを自覚せにゃならん。この相互(相関)関係を経験していない人は、やはり、大人になりきってない様に思われますね。少し昔は、就職して仕事に慣れてきたら、結婚して家庭を持て、と上司から。これは、家庭を守り、子供を育てるを経験せずば、部下を育てる事(会社存続の為の後継者育成)が出来ないからと。因みに企業の平均寿命は、1980年代は、約30年。2017年には、約23年に。様々色々要因はありましょうが、人材育成不備(人材不足)もその原因の1つなのかな。

【要因4】
10年程前の6月、7月の2ヶ月間に、来寺された日は別々ですが、次から次と20人以上、それも30代の男性(就職して、すぐ離職)ばかりが母親に連れられて、人生相談(人間関係の不和、絡れ)に拙僧のお寺へ。その男性(息子)達に、そうなった理由(経緯)を引き出そうと話し掛けていると、横から母親が口を。「今、息子さんに尋ねていますので、宜しいですかね」と何度注意しても、母親が横から息子の言葉を遮って、口出しを。拙僧、堪り兼ねて「お母さん、少し黙らんですか。拙僧はこの子に聞いとる。息子さんがこうなった理由がよくわかる」と母親達に。男性(息子)達に「君が拙僧に、本気で相談したいなら、今度は1人で来なさい」と全員に。その後に来たは、2人。その2人は今でも時折、自分の家族(妻子)を連れてお寺に来ては、拙僧と馬鹿話や四方山話を。

【要因5】
ここでは、親の子育ての事例を1つ。先頃亡くなられた、歌手の谷村新司さんは、父親が衣類関係の会社の社長だったと。生前、テレビ番組で谷村さんが「アリスの稼ぎが大きくなっていき、その勢いで事務所の社長が米国に投資(進出)を。が、それが大きく失敗し、大きな負債を。私たちアリスもその煽りを受け、半年から1年程、給料なしで仕事を。あまりに生活が苦しくなったので、関西にいる親のところへ。少し加勢(生活費)してもらおうと、父親にその事(会社の危機)を話すと『そうか、それは大変だな。まあ、頑張れ』の言葉だけ、1円の援助もありませんでした。その時の父親の厳しい突き放しがあったればこそ、今の私があると思います」と言われておりましたね。子供が可愛いくない親なんて、どこにおりましょうや。が、ここぞの時に親は『心の中に鬼1匹』を飼う事が出来るかどうかが、大きな分かれ道になるでしょうね。

【最後に】
わが寺の本堂内には、鬼子母神の社(やしろ)が。その社の屋根には三猿(投稿の添付写真)が。三猿(見猿、言わ猿、聞か猿)の極意とは「見てはならん、見なきゃならん。言うてはならん、言わにゃならん。聞いてはならん、聞かにゃならん」の判断にて。この判断は、結構に難しい。般若心経の文言の中に「眼耳鼻舌身意」という六文字が。意味は「見たいものだけ見る目なんていらない。聞きたい事だけ聞く耳なんていらない。言いたい事だけ言う口なんて必要ない。この世の中、したい事だけすれば、それで事が済むんかい。よくよく考えな」というもの。人間関係というは全て、割り切れんものを無理矢理割り切って、わが心と折り合いを付けていく事ですもんね。

【おまけ】

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