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【住職の法話。考え方を少し変えるだけで、苦しい人生が、楽しい人生に】 四国遍路(年に1周)を始めて、35年以上になりますが、昔ながらの遍路宿が次々に廃業を。その廃業理由が、何とも、何とも、でしてね。

檀家さんの従姉妹(いとこ)の友人の友人という女性から「井戸を埋めたいから水神上げ(お祓い)をして下さい」との依頼が拙僧にやってきました。檀家さんが言われるには、その従姉妹の友人の友人(女性)は「そんな事、せんでええ」と。が、土木業者の社長さんが「絶対にお祓いをしてもらってくれ。そうじゃないと仕事は受けない」と釘を刺され、仕方なくお祓いが出来る人を探し回って、拙僧にまで辿り着き、お願いに来られたみたいで。

現地に伺うと、その女性が(依頼主)いて「土木の社長さんがここまで嫌がるは、やはり、祟られるからですか」と拙僧に。対し「水神さんは、祟りゃせんよ。失礼な事を言いなんな。社長さんは恐らく『100年以上も井戸の水を使ってきて、先祖代々に渡り、命を保たせて頂いてきたのに、有難うございました、と御礼報謝もせず、必要がなくなったからと、簡単に埋めてしまうんかい。あかんじゃろ、人の礼儀として』と言いたかったんじゃないのかな。土木の社長さん達の大半は、こういう恩義に厚い人って、結構に多いですよ。水でも火でも、10日も無けりゃ、人間は生きてはおれんでしょ。だから昔の人達は『水や火には、神が宿っておられる』と後世の人達に言い伝えて、粗末に扱わない様にしてきたんじゃないのかな」と拙僧、この女性(水神上げの依頼者)に。

更に拙僧、この女性に「土地祓い、地鎮祭も同じ事だよ。依頼者の半数は『この土地ですが、悪霊はいませんか、変な死に方をした人はいませんか』とか、拙僧に。知らんがな、そんなこと。こんな狭い国なのに、人が死んでない土地なんぞ、あるもんか。京都四条河原町は、坂本龍馬さんと中岡慎太郎さんが、切り殺された場所だが、現在も、えろう栄えてまんがな。京都の人達は死人を忌み嫌わず、先人達の功績によって、私達は今、ここに住む事が出来ていると感謝してるんじゃないの。因みに、寺院が多い都道府県は、1位は愛知県、2位は大阪府、3位は兵庫県、4位は滋賀県、5位は京都府、東京都は7位。戦(いくさ)が多かった場所が、上位を占めてるでしょ。戦(いくさ)で亡くなった人達を供養する為なんだよ。この上位の都道府県内で『人が死んでない土地は、どこかないですか』なんて言おうもんなら『アホか、そんな土地などあるかい』と言われまっせ」と。

続けて拙僧、この女性(依頼者)に「地鎮祭を行う理由は、その土地の氏神さん、水の水神さん、火の荒神さん、そして、嘗て、この土地で懸命に生きて、死んでいった人達に『この度、この土地で生活をさせてもらう者です。どうか、宜しくお願い致します』と挨拶をするが、地鎮祭の主旨なんだよ。自分がお金を出して買ったんだから、自分の物と思うは大間違い。自分の物じゃないから、あの世に逝く時に、この世に置いていかにゃならん。お金も、宝石も、伴侶も、子供も、自分の体もまた然り。全てが借り物にて。借り物だったら、大事に扱い、返す時には『有難うございました』と礼を述べるは、当然の事でしょ。昨今、この国は、当たり前の事が、当たり前に出来なくなってきている。その結果、親の遺体を病院に置き捨てたり、遺骨を生ごみ置き場に捨て置きしたり、我が子を平気で虐待したり、殺したり、捨てたりと、鬼畜の様な諸行を。水は必ず、高い所から、低い所へと、流れていきまっせ、躾(しつけ)はするものじゃない、躾は見せるもの、ですばい。受け継がれてきた物を、自分の代で閉ざしてしまったら、子孫へは流れていかず、とんでもない世の中に。もう、そんな世の中になっている気配がするが。水神上げというは、お祓いというよりも、御礼報謝だよ」と拙僧、重ねてこの女性に。

井戸と言えば、度々登場しますが、わが爺様関連の話を1つ。ある知人社長が「住職(拙僧)よ。最新機器を使って水脈を探し、井戸を掘ったんだが、何度掘っても水脈に当たらん。何か良い知恵はないか」と。「迷信めいた方法なら、わが爺様に聞いた事があるが、聞きたいですか」「おう、聞かせてくれや」と。「日中快晴の日の夜に、漆塗りの重箱を、掘りたいと思う場所に、逆さにして何箇所か置いてみて下さい。次の日の早朝、重箱の内側に水滴が着いていたら、その下には水脈がある、と爺様が言ってましたけどね」と、その社長に。すると数日後、その社長から「あの方法で水が出た。凄いぞ、住職」「爺様の受け売りですよ。へえ、ほんとに水が出たんだ。偶然とはいえ、昔の知恵はやっぱ、凄いね」と。

昔ながら、と言えば、こんな話も。1週間前から一昨日まで、家族で四国巡拝した折に、最後に泊まった遍路宿の女将さんが「住職さん。国や保健所から『ああしろ、こうしろ』と、お金が掛かる事(改築)ばかり注文がきて、多くの遍路宿(熟練宿)が、お金の用意が出来ずに廃業を余儀なく。特に、高知県は次々と廃業に追い込まれ、泊まる場所(遍路宿)がなくて、お遍路さん達が非常に難儀をしておられます。何でもがそうですが、現場を知らない上の人達が、庶民の足を止める様な事をして回って。『経済を回さにゃならん』と言いながら、自分達で経済を止める様な政策を。これ、どう思いますか、住職さん」と。「嘗て、映画『踊る大捜査線』で織田裕二さんが言い放った『事件は会議室で起こってるんじゃない。事件は現場で起こってるんだ』という社会風刺の台詞がありましたよね。国や役所の人は、皆が皆、とまでは言いませんが『本の中だけで生きてんじゃねえよ(経験少なきに加え、マニュアル通り)』って人、結構に多いんですよね」と返すと、遍路宿の女将さんが「まったく、その通りだと思います。あの人達は、結局は他人事ですもんね。的外れの指摘ばかりして」と悔やんで拙僧に。

投稿添付写真は、四国霊場第21番札所『太龍寺』の下にあった『龍山荘』という遍路宿です。数年前、宿主の親父さんが「国から『ああしろ、こうしろ』と言ってきたが、数千万円の改築費用なんて、そうそう出せるもんじゃない」と泣く泣く、長い、長い間続けてきた実績ある宿の廃業を決意。ご飯も美味しく、味わいのある、温かい雰囲気の遍路宿だったのに、何とも残念でならないですね。現在は既に、廃業を。萩原健一(ショーケン)さんは3度、歩き遍路をされた時、必ずこの宿に。宿泊した時の写真が、宿の鴨居に何枚も飾られていましたね。こんなんで、本当にいいんだろうか。

【マンション管理】
高級マンションを購入、管理費が2倍に高騰、悲鳴を上げている読者が「以前、住職が『拙僧なら、隣人問題、管理費問題が起こっても、賃貸なら自由に引越しが。よって、購入は避けるかな』と。その時は『やっぱ、購入でしょ』と聞く耳がなかったが。今更、後悔しても始まらん。ほんと、しまった」と。

【追伸】

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