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【詩】子猫の夢見る王国

ふわふわしてる
本当にふわふわして
気持ちいい

タンポポの綿毛が
歌いながら
甘い秘密を運んでる

遠く誰も知らない世界へ

世界はゆっくり動いてる
まだまだよちよち歩き
小さな足に
小さな思い出

若葉がきらめいてる
幾千も
とても数えきれない
いっぱい
たくさん

てんとう虫が
ひげにしがみつく
無理だよそんなの
ひげが折れちゃうよ
早くどこかへお行き
雨雲を一緒に運びなさいね

夢の中だよ
きっと
だってこんなにも
気持ちがいいんだもの

地面がほこほこしてる
土の匂い
ぬくもりがうれしい
柔らかさがうれしい
優しさに満ちてる

ここにはひとりだけ
あたしひとりだけ
たったひとりの住人
足を踏み入れたものは
誰ひとりいないけど
だからと言ってひとりじゃない

いい匂いがする
干草の匂い
あ、またいい匂いがする
遠くの海が騒いでる
今日はお祭りなんだ

取り囲む城壁は
金剛石
すっぽりと覆うドームは
透明な真空でできてる
まるで何もないみたい

あたしの王国
すべてはあたしに従い
あたしに奉仕する
覚悟はできてる
すべてあたしのもの

誰にも奪えない