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【詩】リュックをしょった猫

各地でその目撃談が伝えられた
狭い路地 悠然と歩く姿
人混みの中 何気ない顔で
車のボンネットの上で 日向ぼっこ

すべてはリュックをしょった猫である

何のために存在しているかは解らない
幸福を呼ぶとも
災いをもたらすとも
それとも何の意味など無いとも

だが気になる存在である

何故にリュックをしょっているのか
その中に何が入っているのか
誰も知る者はいない

多くの野心ある人間が
その猫の正体を解明しようと
試みたがすべては無駄に終わり
その尻尾さえ捕まえることが出来なかった

人間の目に触れるところにありながら
絶対触れることが出来ないのだ
ますます人間の興味を掻き立てる
その存在その行為

それは駄々っ子の三毛猫だと言われ
いや甘えん坊のペルシャ猫とも言われ
いやいや気品あるシャム猫であるとも言われ

右の瞳は青く
左の瞳は黄色のオッドアイ
神秘に人間を弄んで
華麗に好奇心を惑わせて

リュックをしょった猫
リュックの中にはきっと
夢と絶望と
愛と悲しみが
心ある者たちのすべての思いが
生まれては消え
生まれては消え
尽きることが無いに違いない