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【詩】ゼロから作りたい

自分は技術者だった
製品を作ることに携わっていた

一つの製品を作るには
(ざっくり言うと)

企画
市場調査
設計
製品を作る工程を検討
スケジュールを決め
製品を作る各部署に手配し
実際にものを作る
(ここだけで数百の工程がある)
作ってみて
仕様通りにできていたら
製品出荷

そうやって
出来上がった製品を
手にとってみる

手のひらに載るほどの大きさ
指先に載るほどの大きさ

ここに至るまで
どれほどの人間が
関わったのだろう

製品開発に携わった自分ですら
見当が付かないほどだ

それこそ
数百人の人間が
少なくない工数をかけて
製品は作られてくる

そうして完成し
手元にある製品を見ても
どうしても

自分が作ったとは
思えなかった

自分の預かり知らない
遠い世界で作られ
届けられたとしか
思えなかった

本当に
自分は何か
貢献したのだろうか

自分が作ったという
実感が湧かなかった

自分が作ったという
実感が欲しかった

***

ゼロから作りたい
ゼロから全てを作りたい

たとえば
この詩のように