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【詩】永遠の航海

風をいっぱいに受けて
膨らんだ白く大きな帆
それはぼくたちの思い

進もう

空は晴れ渡り
白い雲を浮かべている

旅立ちを前に
残しておくものは何もない

この大地は
人間どものさせるがままに
するがいい
ぼくたちにもう用はない

青い空と
青い海こそ
ぼくたちにふさわしい

ぼくたちの瞳に映る色の数々
人間には真似できない
その瞳の色の数々

ぼくたちは決して忘れなかったのだ
ぼくたちの矜持

猫であることの矜持だ

たとえ目的地が
不毛の土地でも構わない

ぼくたちは知恵がある
ぼくたちは力がある
今までは眠っていた
でも
今またそれらの力が
目覚めつつあるのが
はっきりと解る

君よ
愛する人よ
悲しみは決して癒えない
その傷は永遠に治らない
永遠に消えない

誰よりも君を愛するぼくでさえ
君のその傷の苦しみを
消すことはできない
今まで生きてきた大地に
その傷を
残しておくことはできない
それを
背負って生きなければならない

ならば
ぼくもその傷を背負うことにしよう
その痛みを

ぼくにはこのきらめく瞳がある
未来を予知するひげがある
君を守るすべがある

君のその美しい瞳にかけて誓う
いつまでも君のそばいる
君と共に進む

尽きることのない
この永遠の航海を