【詩】駆け引き

同じ人を好きなる
別に珍しいことじゃない

恋のライバル出現

あたしの方が美しい
あたしの方が魅力的
あたしの方が百戦錬磨

恋の駆け引き

あたしが誘惑すれば
狙った獲物は
必ず落ちるの

恋の手練手管

何気ないしぐさ
一緒になった機会をとらえて
さらりと尻尾の先を

触れさせるの

気付かないくらい微妙に

相手が気付いた瞬間に
また触れさせるの

あたしが誘惑していることを
相手に悟らせるの

そしたら
簡単に
成熟した猫なら発情する

はずなのに

少し甘えて
怒った振りで
優しくはたく真似をして
前足を
その目の前で一振り
肉球から
媚薬の香り

そしたら
イチコロで
うぶな猫だって欲情する

はずなのに

どうしてわたしが負けるの？

あたしの方が美しい
あたしの方が魅力的
あたしの方が百戦錬磨

どうしてこんな
小娘に負けるの？

まだ恋を知らない
口づけの甘ささえ知らない
駆け引きの技術さえ持たない
駆け引きをしようと
思うことさえしない

ひよっこに

どうしてあなたは
引き込まれてしまうの
まだ何も知らない
あのつぶらな瞳に