しょくばのかいだん
結婚当初に夫から聞いた話です。
20代前半、夫は金属の加工工場に勤務していました。広い作業場で遅くまで働いたそうです。
外が暗くなった頃、同僚たちは夕食や休憩で作業場を離れ、作業場にはまだ新米だった夫がひとりで作業をしていたそうです。
そこに「あのー、ハシモトといいますが、Mさんはいませんか?」の声。
振り向くと知らない人が出入口からひょろっと顔を出してたそうです。「Mさんは食事かなー、呼んできますか?」と言ったら「んー、渡したいものがあるんだよね…また、来ます」と、去っていったそうです。
そのうちほかの人たちが戻ってきたので、夫がMさんに、「ハシモトさん、ていう人が会いに来てましたよ」と伝えたら、周囲の空気がなんだか変なことになりました。
「おまえ、ハシモトと喋ったの?ホントに?…ハシモトはなあ、去年死んでるんだけど。」
作り話じゃないの?と何度か確かめた記憶はあるけれど「作り話でした!」と言ったことは一度もないのです。
あー、見ちゃった上に喋っちゃったよw
読んでいただけただけでシアワセ。