2020年2月11日

 こなつの毛が抜けている。
 換毛期にはまだ早いのに、だいぶ抜けつつある。私の思う柴犬の換毛期の抜けかた(手でひっつかんで抜くとひとつかみ取れる。ブラシをかけると無限に取れる)よりはずいぶんとおとなしいが、それでも指を立てて撫でてやると目の前でぱっぱっと散る。ロボット掃除機のゴミ受けが二日でいっぱいになる。
 このところあたたかいからだろうか。しかし朝の公園で一緒になる柴犬たちはまだ抜けていないと、みな口をそろえて言うのだが。

 先だっての胃腸炎(たぶん)で都合十日間本調子でなかったこなつだが、復活してからはそれを取り返そうとするかのように元気である。朝は私が「こいぬちゃんめざまし」と呼んでいる控えめなくんくん声で私を起こし、ケージから出れば延々と遊び回り、散歩だよと言ってリードを出せば、毎日二回行っているのに「最高」とばかりにしっぽを振り、路上では得意満面でまっすぐ前を向き、おしりを振ってぴこぴこと歩く。
 近ごろは運動が足りていれば、帰宅後に犬ベッドで落ち着いていることも増えた。眠るところまではいかないが、丸まって良い子にしている。素晴らしいことである。

 とはいえまだまだいたずら盛りで、私がダイニングにいるときにリビングの壁紙を剥がしたりする。まだまだ油断がならない。ティッシュペーパーや靴下をゲットしたときにわざわざ私に見せに来て追いかけっこを仕掛けてくるので、悪いことだとわかっているようにも思う。そういうときは呼び戻しなんかぜんぜんきかない。楽しそうに逃げ回る。
 しつけがひととおりできているようにも思うが、いまいちであるようにも思う。これ以上はしろうとがやるより本職のトレーナーについたほうがよい。そう思って近所のドッグトレーナーのところに行った。散歩がてら歩いて行ける距離で、方針が私に合っていそうだったので選んだ。
 1時間のカウンセリングを受けたところ、九ヶ月の柴犬としてはよくできているということだった。飼い主も「よく勉強している」とほめてもらってうれしかった。なにより嬉しかったのは、トレーナーさんと私が同時に別の場所で呼んだとき、こなつが私のほうに走ってきたときだ。ふだん他人のほうによくしっぽを振って私にはそこまで愛想のよくないこなつだが、ドヤ顔で私のところに来るのである。「誰にでもなつくし、お世話してくれれば誰でもよいのでは?」と思っていたので、自分が少々特別なのだとわかってうれしい。
 しつけのいまいちさの要因もわかりやすく説明してもらったので、しばらく週に一度通うことにした。私はこなつに言った。毎週お教室に通うのですよ。人間の子どものようだねえ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?