2021年4月1日

 こなつを屋外ドッグランデビューさせた。
 これまでは室内のランを使い、犬合宿やしつけ教室の空き時間に他の犬と遊んだりしてノーリードお遊びタイムを確保していたのだけれど、ようやく近隣の(とはいえ犬連れだと片道三十分弱ほどかかる)屋外ランを使えるようになった。もっとも今のところ他犬に出会っておらず、こなつがひとりで一時間ばかり探検したりダッシュしたりしているだけである。申し込みを受け付けてもらえないのは混んでいるからだとばかり思っていたのにたいそう意外である。
 夢中になって帰ってこないと面倒だなと思っていたが、杞憂だった。ちゃんと一定の間隔で私の足元まで戻り、水やおやつをもらったり撫でてもらったりしてまた遊びに行く。おりこう。

 しつけもバージョンアップしている。ティッシュペーパーや本をかじるのでローテーブルに置けなかったものを、少しずつ置いていたずらしなければ褒めるという方法で慣らしている。トレーナーTさんに教わった方法だ。
 もっともローテーブルの上のグラスやコースターはすでにいじらない。これは人間がくつろいでいるときはリビングに置かざるをえないので、Tさんの言う方法を赤ちゃんのときから自然にやっていたことになるのだろう。辛抱強くやったら覚えるのだ。ちなみにグラスについてはたしか生後半年くらいのとき、壊れないステンレスのものに少量の麦茶を入れ、をわざと置きっぱなしにしてひっくりかえしたところで大げさに嘆いてみせたところ、一発で触らなくなった。幼犬心に強いインパクトがあったようだ。
 床板や壁紙をかじるのはまだまだなくならない。いけないとわかっていても退屈だとこっそりやってしまう。あとはかまってほしいときにわざと触ってはいけない小物をくわえ、持ってくる。以前は本気で逃げていたけれど、この一ヶ月ほどはあっというまに降参する。かまわれれば満足という感じだ。それもどうなのかと思ってTさんに相談したら、「破壊していなければ受け取って軽くほめる」というステップを踏ませると卒業する子が多いと教えてくれた。これもやってみることにする。

 対人についてはほぼ注文はない。業者さんが家に来て私がいないときにもケージの中でしっぽをふりふりおりこうさんにしていたということだ。かまってもらえなくてもクンクンとも言わなかったということで、素晴らしいことである。赤ちゃんのときに少し「かまって」吠えがあったくらいで、その後は順調に無駄吠えがぜんぜんない。これはとくにしつけたわけではないのでなぜだかわからない。強いて言うなら吠えたときにいいことをしてやった回数がゼロである。それにしたって理解がやけに早い気がする。
 人間に対しては一点だけ好ましくないところがあって、ときどき通行人の仕草を誤解して「撫でてくれる」とばかりに私のリードを強めに引っ張って寄っていく。だめだよと言わなければならない。それさえなければなと思う。まあ、ちょっとくらいはいいですけど。
 対犬については言うことなしである。誰とでも遊べるし、しつこくなくなった。同じ月齢の子犬はそろそろ卒業するプロレスごっこは現役で、夢中になりすぎて変な顔になったりして実にかわいいのでできれば成犬になってもやってほしい。

 反抗期らしい自己主張は控えめになった。主張が通らないとき(飼い主さんが「うちの子は犬がだめ」と意思表示している犬にあいさつしたいとか、楽しく遊んでいる場所から帰りたくないとか)、リードを噛んでびゃんびゃん跳ねたり私の手を狙ったりしていたのがなくなった。その代わりといってはなんだけれど、歩いている斜め後ろにつけてこっそりリードを噛んだり、私の前に回り込んで進路を妨害する。強く叱られないギリギリのラインを試している感がある。
 散歩が単調だったりしてエネルギーの発散が足りないと、夜にやってはいけないことをわざとやってみせてかまわれたがることの連続だ。これはもうしつこく「だめ」と言ったり適切な無視(いたずらでは望みがかなわない)をやりながらエネルギーの発散もさせてやるしかないだろう。もっとも一日二時間の散歩にTさん仕込みのゲーム的な工夫をしたしつけでも満足しないなら、もっとがまんを覚えてもらうよりない。
 刺激と運動が足りていればソファの上で人間にくっついたり犬ベッドに丸まって穏やかに過ごし、実によい犬だ。疲れた犬はよい犬だということわざはほんとうである。

 スリッカーブラシにはだんだん慣れてきた。フードをばんばん口に放り込みながら朝晩せっせと毛を抜いている。私はそれを「毛刈り」と呼んでいる。ほんとうに刈っているみたいにごっそり取れる。こなつがイヤイヤしない時間を見計らって、大きなスリッカーブラシ二杯ずつ取っている。


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