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商業bl感想『ハッピー・オブ・ジ・エンド(2)』

ハッピー・オブ・ジエンド おげれつたなか
(2023.3.21記)

まじでまじで良、泣いた、本当に泣いた、読後胸がいっぱいになって全然眠れなかった。
なんであんなにもすごいものを描くことが出来るんだろう。1巻で両思いになってから2巻で何があるんだろうと思ったら浩然の過去に触れていくのね…
ずっとドキドキしながら読みました。
浩然ってなんだかすごく儚くて、まるで触れたら消えてしまいそうで、いつのまにかどこかにいなくなってしまう猫のような感じ。1巻での楽しいねからの死にたいだったり、感情の振り幅というか緩急の激しい漫画だから余計そう思うのかも。
なんていうか、幸せの絶頂とその幸せの終わりがすごく近くにあって隣り合わせのような気がして、何かすごく小さなことがきっかけでコロッと幸せが瓦解してしまうような気もするから切ないし苦しいなって思う。
初詣の時に浩然が涙を流したシーン、すごく深いような気がして、苦しい過去を持っていた浩然は普通の生活を送ることが普通ではなかったし、自分はどれだけ酷いことをしてもどうせ死ねば良いからという悲観的な考えだった。でも千紘と出会って、普通を手に入れて、それを手放すのが苦しくなるってところが本当にさぁ…
大切なものを失う怖さを知ったからこその浩然の葛藤が垣間見えて、やっと人間になれたんだろうな。
過去マヤの経営する店で暴力があって身体が傷だらけになっている浩然、初めてそれを千紘に見せた時の浩然の表情、色々考えてしまうな、
きっとあの身体今までに誰かに見せたことがあって、その時ひどいことを言われたか、引かれてしまったんじゃないかな。だけど千紘はそんなことを言わなかった。ただ何もないようにそれを受け入れて、そんな千紘の反応が信じられなくて驚いて、その後2人が抱きしめ合うところまでの幸せそうな表情はすごく印象的だな。
クールに見える浩然だけど、千紘のどストレートな告白には顔を歪めて恍惚そうな表情をするし、クズで救いようのない千紘が浩然のためにバイトをしてマフラーをプレゼントするあの回は本当に良かったしかない、、
2人は本当にお互いがいなきゃ生きていけないし、お互いに出会ったことで人間になれたんだなと思う。
次の最終巻で十中八九浩然はマヤとの過去と向き合っていくし、それに千紘も巻き込まれていくんだと思うけど、その中で千紘の家庭のことも少し触れられたらいいな。救われなくても良い、親子仲良くなんて望まないから、少しだけ報われて欲しい。
2人に生きてて良かったって、生きたいって心の底から思って欲しい。この話は辛い幸せの塩梅がすごくちょうど良くて、だけど辛い時はすごく辛くて時折本を閉じたくなってしまうくらいだし、だからこそ幸せは噛み締めたくなる。特にキャラたちの表情がすごく繊細で、そこも含めて魅力的な漫画だなと思う。
私が1番好きなシーンは1巻のボートでのシーンで、2人で楽しいねって笑い合ってから次ページ大コマで浩然の一言が放たれる、あの構成本当にすごいよ…
その後千紘が止めるでもなく否定されるでもなく、そっかぁって受け入れるところがもう絶妙すぎる、、
ハッピーオブジエンドっていうタイトル、直訳すると終わりの幸せだけど、このタイトルがどういう意味なんだろうってずっと考えてる。
幸せの終わりとかだったらもう救いがないんだけど、おげれつ先生がバドエンは描かないって言ってらっしゃるからそうではないはず。だとしたら終わりの幸せ?人生の終わり、最後の幸せってことかな?
私には計りかねるけれど、この2人が互いを生きる意味として、少しでも報われて幸せになったらこれ以上のハッピーエンドはないな、、

https://x.com/konanenohonne/status/1637991980008636419?s=46から引用


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