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ミ・ト・ンと、ウクライナ侵攻

私は本から離れて、5年以上たつ。
しかし、2月に入ってから、この本を読み始めた。

ずっとやりたかったことを、やりなさい。

この本を読むきっかけは、「モーニング・ページ」を実践している人や、書籍紹介の動画だ。最初は、同一著者の、頭に「いくつになっても」というタイトル付きの本が広まっていたので、これは老後の話なのかな、と思っていた。しかし、この原題を知って、読むことを決めた。原題は、"The Artist's Way"。表現に臆病になっている私を引っ張り上げてくれるのではないかと感じた。
実際読んで、実践してみると、私の本性とか、本当にやりたかったこととか、楽しみが生まれてきた。表現することに、躊躇がなくなってくる。そして、好き嫌いがはっきりしてくる。いい子だった私は、悪い子になることも少しずつ慣れてくる。その中で、私がやりたかったことをやっていく中で、本を読むことを始めた。

しかし、何を読んだらいいかわからない中で、偶然にも、大好きなYouTuberさんが、面白い企画を考えてくれた。
1月から毎月本を紹介してくれて、毎月読むというもの。

私と本の趣味が似ているので、とても嬉しいことだった。
といっても、私が本を読むことを望んでいるのに気がついたのは2月の初めだったので、1月の本だったのを出遅れて2月の17日に読了した。

その本がミ・ト・ンだ。
この本を穏やかに進む日常に、ロシアの影が色濃く落ちる。(本書の中ではロシアとは明記されていない。)豊かな日常がだんだんと、暗くなってゆく。しかし、主人公は一度もネガティブなことは考えない。その中で、主人公や主人公の大切な人にも影響が出てくる。

最初は、主人公はロシアのことを良くは思わなかったが、主人公の元にあるものが届けられる。それをきっかけに、主人公はロシアにいる人に思いを馳せる。自分たちと何ら変わらない人間が住んでいるのだと。

その1週間後である。ウクライナ侵攻が始まったのは。私はこの主人公や主人公の大切な人のような運命を辿る人を思い浮かべた。もっと激しいものかもしれない。偶然にしては、今回の戦争についてかなりの想像を膨らまさせられる本に出会えたと思う。どんな状況になったとしても、自分が新しい喜びを見つけていく姿は、励まされる。最後の取材の様子の挿絵もかわいらしい。本が終わって、主人公との別れを寂しいと感じつつも、今ある日常が奇跡的なこと、大切な人と毎日一緒に過ごせることのありがたさや、尊さを感じられる一冊。そういった、家族の中での平和をもっと大切にしてほしいと感じる。

私が社会学を学んだ恩師が亡くなっていたことを最近知った。その先生の授業で、最も影響を受けたのが、社会の最小単位が家族であるということ。私は社会について、もっと大きなうねりのようなものだと捉えていた。しかし、よく考えてみると、子供時代は家族が最初に触れる社会。この最小単位である家族が健全であることが、平和をもたらすのだと私は感じた。家族の幸せが平和を生み出すのだ。

昔、グローバリズムに肯定的な考えを私は持っていた。元々、グローバリズムに関わる仕事をしていたため、私はその仕事に誇りを持っていたし、そういったやり方が豊かさをもたらし、経済的発展をして平和をもたらすのだと信じていた。ある時、クライアントからイベントに誘われた。そこで常設上映されていた映画に私は腹を立てた。映画では、グローバリゼーションによって、後進国に先進国が技術を輸出し、現地の人たちの生活を向上させたことが取り上げられていた。しかし、それによって、その現地の人たちの文化や幸せが奪われたというのだ。私は、グローバリゼーションこそが幸せの道だと思っていたので、腹を立て、一方で、私はその映画を今でも覚えているほど衝撃を受けた。平和とは、少なくとも、他人から押し付けられるものではないのだということは確かだった。

この、ミ・ト・ンでは、さまざまなラトビアの文化が紹介される。日本に似ているところもあり、全く違うところや、羨ましいと思うこともある。そういったことを知ることは素晴らしいが、彼らの文化を奪ったり、自分達が幸せだと思う価値観を押し付けることが、いかに不幸をもたらすのかがよくわかる。ウクライナ侵攻で、文化だけでなく命も奪われている。同時にロシアの国の家族も平和から遠のいているだろう。平和は他人から奪うことで得られるものではないということだ。ロシアの国民にとっても、早い終息を願ってやまない。

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