苦手意識

職業を聞かれることが苦手だ。
人と会うと必ず、「お仕事はなんですか?」という話になる。そういう時は大抵、

「イラストレーターをやっています」

と答えている。
その返しでよかったのか。
いつも迷いながら。 

わたしはこの仕事を始めてから4年ほどになるが、一度も自分のことを"イラストレーター"だと、思ったことはない。
ちゃんと絵の勉強をしたわけでもなければ、イラスト製作の仕事も極力お断りしている(そのお仕事はわたしじゃなくてもできるだろうと思うのと同時に、わたしにしかできないことをしたいと思ってしまう)からだ。

今朝もまた人と会う。
「なんて言おうかなぁ」なんて考えていた。
イラストレーターじゃない。
デザイナーでもない。
ましてやクリエイターっていうのもちょっと恥ずかしい。
いろいろ迷ったあげく、

「ものづくりをやっています。」

と答えていた。

そんな答え方は初めてだった。
すると相手は、こちらのことを少し知っていて、

「あれ?イラストレーターだと聞いてました。」

と返答。

「一応イラストレーターです。でも商品を作るためにイラストを描いているんです。」と答えていた。

その答えはわたしにとって真っ当で、全てがすとん腑に落ちた。

わたしが絵を描くきっかけになったのは、自分が納得する商品が作りたかったからだ。あぁ自分は商品を作るためにイラストを描いている。

思わぬ収穫だ。
この日は1日中、ずっとにこにこした気持ちで過ごせた。


湖中

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?