すきなものに囲まれる。

大学生の頃。
すきなものに囲まれるという経験をした。

アルバイトをしようと決め、どうせするなら自分の一番すきな飲食店で働こうと思った。
そうして選んだのは、お好み焼き屋。
たこ焼き屋と最後まで迷って、ちょうど募集のかかっていた方を選んだ。

まかないでお好み焼きが食べれる、、!

ただそれだけの動機だった。

しかしいざ働いてみると大変で、何度も指を切ったし、いつも油とソースの匂いでドロドロになって帰った。
(当時は気が付かなかったが、朝10時に入って夜23時に終わることもザラにあった。)

けれど楽しかった。

お客さんはわたしの一番すきな物を食べている。
その事実だけで友だちになれそうな気がしてわくわくした。

そしてありがたいことにたくさんのまかないを食べさせてもらった。

お好み焼き、広島焼き、モダン焼き、

ひるぜん焼きそばに豚平焼き、

冬には牡蠣のお好み焼きも。

どれもこれも本当に美味しくて飽きなかった。
食に関して言えばあの頃に勝る至福はない。

そこからだと思う。

”すき”を選択すると楽しいと思い始めたのは。
社会に出るときも、北欧を扱う会社を受け、そこでもすきなものに囲まれる生活を送った。

フィンランドやスウェーデン、デンマークにノルウェーの雑貨。見たことのない色とりどりの生地に触れられる、眺めていられる生活はやはり至福だった。

そして今は自分ですきなものを作っている。
はっきりと意識しないまでも、すきなものに引っ張られてここに立っている。

すきなものは自分で選択できる。
だから愛おしい。
これからも変わらずに。
すきなものと一緒に生きていたい。


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