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いのちの夢
そういえば一昨年の妊娠9週目、健診の朝に変な夢を見た。
海に浮かぶ、丸い島に観光に行った。
島のフィールドワーク兼案内人してる人がいて、色々話を聞いたりして島を回ったけど、住民がいない。
案内人に尋ねたら、
「この島には南側に家が3軒並んでいる。
左右の家には最近まで人がいたが今はいない。
真ん中の地主の家には誰もいない」
と言われる。
そうか、真ん中の家はこの島で一番大きいのに誰もいないんだ。地主なのに?
なぜいないのですか?と聞いたら
「蛇に食われた」
と言われて。
途端に土が盛り上がって、姿を見せない細長い生き物が土の中を削りながらこちら目がけて追いかけてくる…
という夢だった。
朝目覚めて、「誰もいない」って言われたのが印象的で、なにか嫌な予感がした。
その日、希望を持って診察を受けたけれど、やはり心拍は確認できず、卵黄嚢と胎嚢だけ大きくなっていた。
家の配置が暗示的だと思った。
命を何かに食われたの?
ホラー小説を量産できそうな悪夢はしょっちゅう見るけど、夢日記を書くのはあまり良くないと聞いたので、近頃はくだらないギャグの時くらいしか人に伝えていない。
まあ単なる夢に過ぎないし、私の不安が形になったのだろう。
それから、10週目に自然流産となる。
その一年後、印象的な夢を見た。
晴れた日、富士山の見えるマンションの2階で、お年寄りにもてなされながら、沢山の宝石(原石)が乗せられているティーポットをもらう。
綺麗ですね、貰ってもよいのでしょうか…と尋ねると、
快く、あげるよ!と返事が来る。
私は普段、宝石を身に着けることや購入することにはあまり興味がない。
ただ、石を見るのは好きだ。なんだか心がときめいた。
てんこ盛りの原石をもらえて、嬉しくて、感謝しながら
壊さないように大事にしよう!と大事に抱えてる。
再度の妊娠が発覚し、最初の病院に行く日の朝に見た夢だった。
そして今年、順調に育った命を手に抱くことができた。
我が子を産んだその瞬間、生涯の宝物を貰った気分だった。
夢の中で原石をくれたあのお年寄りは誰だったのだろう。
ありがとう、大事にします。
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