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愛おしい影

犬やポニーの散歩をしている時、私は絶対に彼らの影を見る。だってすっっっっっごく可愛いから。人の影が人の形をしているように、動物の影はその動物の形をしている。当たり前だけど、耳をパタパタしていたりしっぽが揺れていたり、何よりもそのふわふわ加減が影にも表れているのがめちゃくちゃ愛おしい。人間の影は輪郭がくっきりしているんだけど、毛が生えていてふわふわな動物たちは影もふわふわしている。かわいい。でももし私がツルツル系の犬と暮らしていたら影のツルツル具合を愛していたと思う。結局動物と暮らしている人間はうちの子が1番かわいいと思っているんだから。

人や動物の影を見るようになったのは随分ちいさい頃からだったと思う。私はまあよく転ぶ子で、だいたいいつも膝を擦りむいては歩道の上で号泣していた。そのうち友達も親も焦らずに「また転んだんか!洗って消毒しな〜」と言うようになったくらいには頻繁に転んで転んで転がっていた。インドアで運動もあんまりしない小学生だったのに膝だけはいつも小学生男子❗️って感じ。ニュジがドン引くレベルのスーパーシャイで転んで泣くのがすごく恥ずかしかったし、痛いのが大嫌いな臆病者だったから「転ばないように」と地面だけを見て歩いていた。たぶん小2から中1まではずっとそうしていた気がする。私は中2で人が変わったように性格が変わったのでそこからは「どうせ下見てたって転ぶんだからもう前とか上とか向いて歩くか〜」ってなって今度は空をガン見するようになったんだけどそれはまた別の話で、あの時ずっと下を向いていたからこそ今いぬやポニーや友達やセブチの影を見つけては「愛おしいな〜」と思えるようになったんだから悪いことではなかったと思う。


セブチといえばたまーにTwitterで海外のアカウントとかが壁に映ったセブチの影を載せて
「どこまで王子様なんや‼️‼️‼️‼️」と絶叫しているのを見る。それを私はいつも「愛だな〜」と思って見ている。だって興味ない人間の影なんて気にしないし、あまつさえかっこいいと思うことなんてないから。一体世界でどれくらいの人数が彼らの影までめざとく見つけて「かっこいい!」「かわいい!」「尊……」と思っているんだろう、本当に愛され人間たちはすごい。



と同時に、自分の影を見つけてはこの影を愛おしく思う人はいるのかな〜とうっすら不安になる。まあ母や父は私の影を見て愛おしく思うだろう。それくらい愛されている自信はあるけれど、問題はこれから先である。ここ数年ですっかり独身貴族として格を上げてしまった私にこの先私の影を愛おしいと思うような人間が現れるのだろうか?友達がしれっと結婚して、子供が生まれて、友達がその小さい影を愛でてたり叱ったり抱きしめたり反抗されたりバタバタしながら育てて大きい陰にしていく中、私はどうしているのだろうか?
……まあたぶん海外アカウントと同じように
「ウワァ‼️‼️‼️王子様や‼️
     ヨッ、ディズニープリンス‼️‼️」とか叫び散らかしているんだろうな。もうそれでいっか…

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