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魅力を伸ばして活かすtomoni art前編|社会福祉法人ともに福祉会支援員 石川則子さんインタビュー

tomoni artのブローチにたまたま出会ってから4年。それまで一般企業勤めていたわたしが、障害福祉サービス事業所に転職し、konkonを立ち上げ、tomoni artのカレンダーを扱うことになりました。一周まわったような気がして、なんだかじーんとしちゃいます。

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実際に購入したブローチ

関係性をしっかり築いていきたいので、konkonでは、わたしが住む広島県の事業所の商品を取り扱っていますが、tomoni artは北海道だけど特別枠。わたしの人生を変えたと言っても過言ではないtomoni artを運営する社会福祉法人ともに福祉会の支援員 石川則子さんに施設のこと、商品化のこと、表現活動のこと、リモートでお話しを伺いました。

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石川則子さん

社会福祉法人ともに福祉会 ともに
(就労移行支援事業・就労継続支援事業B型)
〒063-0834 北海道札幌市西区発寒14条14丁目2-33
TEL 011-663-0200 FAX 011-663-0300
http://tomoni-f.or.jp/main/
tomoni art
ともに福祉会のアートグッズブランド。原画を元にデザインしたグッズ、紙や布に直接描いた一点ものの商品。つくる人と手に取った人がともにハッピーになるものづくりを目指しています。
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ご無沙汰しています。今日はお時間を作っていただき、ありがとうございます。障害福祉の世界に携わるきっかけになったtomoni artの取材ができる日がくるとは!ひとりで盛り上がっています。(笑)

石川
こちらこそ、光栄です。今日はよろしくお願いします。

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よろしくお願いします。さっそくですが、ともに福祉会様について教えていただけないでしょうか。

石川
そうですね。ともに福祉会では就労移行支援事業と就労継続B型事業を行っています。両方合わせて、現在、48名の方に通ってきていただいています。

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ともに本部

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たくさんの方が働いていらっしゃるんですね。

石川
商品づくりは作業の一部で、ほとんどの方は隣接された本部工場でタオルや衣類を畳んだり、外部に清掃作業に行ったりしています。社会人経験のある方が多いのも特徴かもしれませんね。

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ともに本部工場での就労の様子

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tomoni artの大ファンなので、てっきりアートが活動の中心かと思っていたのですが…

石川
日々それぞれに作業があって、毎週木曜日に2時間、6, 7名がアート活動をしています。月に1回講師の臼井先生が来所される時だけ参加する方もいて、全体では17名ほどアート活動に取り組んでいます。

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そうだったんですね。そもそも、どうしてアート活動に取り組まれることになったんですか?

石川
実は、ともに福祉会の前身は株式会社の中の小規模作業所だったんです。

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企業の中の作業所、初めて聞きました。

石川
株式会社の中でやっていた仕事の一部分を閉じることになって、そこでは障害のある方が多く働いていたんですけれども、約半分の方は他部門に異動できたのですが、もう半分の方は社内での受け皿がなかなか見つからなくて…でも、解雇という道は選びたくなくて。その中で出てきた選択肢が株式会社の中に無認可の小規模作業所を作ることでした。

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なるほど。

石川
雇用という形は難しいけれども、会社が新しくつくる作業所に通ってもいいし、他の作業所に通ってもいいですよ、という選択肢を皆さんに投げかけたところ、当時働いていた方は全員、会社の中にできる作業所を選ばれました。

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そういう経緯があったんですね。

石川
作業所といえど、もともと働いていた方々なので、働く力はすごく持っているんです。

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はい。

石川
会社や外部から軽作業的なお仕事をいただいていたんですが、最初は慣れないから1時間かかる仕事も、だんだん慣れてきたら30分で終わっちゃう。そうすると時間があくんですよ。

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あ、それは困った。(笑)

石川
そうなんです。(笑)5時間の仕事を用意しても3時間で終わっちゃって、後の2時間やることがなくなって、これは困ったぞ、と。苦肉の策で、読書の時間と称して電話帳や地図帳を見る、とかね。でも、これって全く生産性がなくて、すごく嫌だなと思っていたんですね。

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今までバリバリ仕事をしていた方々ですもんね。

石川
天気が良ければ散歩に行ったりできるんですが、雨が降っていたり、逆に暑すぎたりすると外には出かけられないので…室内でできる何か建設的なことがあったらいいね、という流れから創作活動を始めました。

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働く力がある皆さんだからこそ、建設的なことを、という流れになったんですね。

石川
当初は創作活動に取り組む人も2, 3人しかいなくて、絵を描いたり、刺繍をしたり、造形物を作ったりしていましたね。その後、臼井千晶先生と出会って、色んなことをしました。

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illustrated by Yuji Abe

臼井千晶先生
銅板画家。2003年から、ともにの創作活動に携わる。現在は月に一度、ともに福祉会にて創作活動を支援。筆者が見学に行った際には「いいわ~!」「素晴らしい!」といった聞いているこっちまで明るくなるような声掛けをされていたことがとても印象に残っている。

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最初はどんなことをされていたんですか?

石川
キャンドルを作ったり、モビールを作ったり、墨流しをしてみたり…ありとあらゆることを先生が提案して下さったんですよね。今は皆さんが絵の方に向かっているので、そこまで色んなことはやっていないんですけどね。

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色々なことを試した中で、皆さんが自ずと向かっていったのが絵だったんですね。

石川
そうですね。それもありますし、造形作品は展示会ではご覧いただけるんですけど、商品化となると、なかなか難しいこともあって…ポストカードやカレンダーになりやすいのはやっぱり絵ですよね。

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あぁ、商品化を考えると、確かにそうですね。

石川
それまで絵を描いてなかった人も、ポストカードやカレンダーを見て、絵はこういう風になっていくんだなっていうのが見てわかったんだと思います。「絵はうまく描けないから」と言っていた方も、臼井先生が気持ちを高めてくれて、できあがった作品に対して賞賛の言葉をかけてくれて「自分の表現はこれでいいんだ」と思えるように、だんだんなってきたんですよね。

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なるほど。

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創作活動の様子

石川
今まで認められる場面が少なかった人も、臼井先生から「すごくいいね、この色いいね、描き方いいね」と言われると「これでいいんだ!」っていう自信につながる。

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はい。

石川
普段から関わりのある我々がアートの時間に「いいね」って言っても、残念ながらあまり伝わらないんですよ。先生に認めていただいたっていうのが絶対的な自信につながるようですね。私たちも本当に心を込めて「すごくいいね!」って言うんですけど、そこは質が違うみたいで。(笑)

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ふふふ。(笑)臼井先生に言われると、皆さんの胸にすっと届くんですね。

石川
第三者がいいのかもしれません。日頃接している職員ではなく、月に一度いらっしゃる臼井先生や見学に来た人から言われると、認めてもらったっていうのがすごく伝わるんだと思います。外の人に認めてもらえることで自信につながっている気がしますね。

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創作活動のアトリエにもなる場所

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konkon
障害のある"人の魅力"を伝えるために①障害福祉サービスの商品販売、②作品展企画、③常富芳香さんマネジメント等広島を拠点に行っています。
ひとりでも多くの方に「こんこん」と気軽にノックしてもらえますように。
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