0-2 ドラエモンとの交差点2

これは『ドラエモン』を読んだことも見たこともないOVER30がこれから『ドラエモン』を始める、その記録である。
とはいえ、全く無知というわけではい。多少のキャラクターも知っているし、あれがロボットであることも存じ上げている。
今まで点でしか存在しない『ドラエモン』の情報を線でつなぎたい。
だから齢30を超えての今、『ドラエモン』を始めるのである。

今回はドラエモンとの交差点2として高校生の時の出来事を綴ろうと思う。
それは、高校1年生か2年生の数学の時間のお話。
指数の分野に入った時の話である。数学の先生が指数関数的に物質が増える話の例としてドラエモンの道具の一つであるという『バイバイン』の一こまを紹介したのである。
さーっぱりわからない。いや、数学的な説明はわかる。1枚が2枚、2枚が4枚…のあれと一緒でしょ。
けれど漫画の一こまがスクリーンに映し出された時の周りの「あー、これか。」というような反応の面白さがわからなかったのだ。
まるで、海外の複数人と話していているときに、その国独自のジョークが挟まれて自分だけがそのジョークでわからなくて笑うに笑えないあの状況である。面白くない。
結局、授業が終わった後に友人に聞いてみた。
優しい彼は、噛んで含めるように教えてくれた。
この道具は、使うと(使い方すら覚えていない)、一定時間ごとに倍に増えていく道具。倍に増えるからはじめはそんなに大きく増加はしていかないが、時間を追うごとに著しく増加するから最後のオチがあるんだよ。
と。
しかし、実に面白くなかったのである。
そんな経験もあって、『ドラエモン』と距離を置いていたことは確かだ。

時は流れ、高校生は社会人になった。高校を卒業してもあのバイバインの友人とは交友関係が切れることはなかった。そんな折、私はそのバイバイン氏と友人と3人でドラエモン展に行くことになった。あろうことかである。
なぜそんな無謀なことをしたかというと、展覧会後に行こうといわれたレストランの方に魅力を感じたからである。ひどい抱き合わせ商法である。
そんなわけでグランフラント大阪へ。長蛇の列に並ぶ。子供連れも多いが、意外と大人のお客さんも多い印象。そして間違いなくみんなガチ勢である。
そして、私を無理矢理連れてきたこの彼もまたガチ勢である。
やっと入場。そして退場。
各々のペースで見たので私は出口で散々待たされた挙句、お土産コーナーでも散々待たされ持たされた。
しかし、肝心の展覧会については全く内容を覚えていない。
別に『ドラエモン』のことを嫌っていたわけでもないし、展覧会が一見さんを断ってきたわけでもなかった。むしろ、大きく門は開かれていた。
しかし、私には後の食事の方が楽しみで頭に入らなかったのだ。

せっかくのドラエモンとのお近づきのチャンスをまんまと逃して、そのまま現在に至る。
その間に『新世紀エヴァンゲリオン』にはまり、『らんま』、『ドクタースランプあられちゃん』、『攻殻機動隊』、『AKIRA』などが本棚に並んだ。
しかし、水色の彼はなかなか私の本棚には並ばなかった。そして、いまだ並んでいない。
ある日、親戚の子のお誕生日に本を送ることになって、本屋さんへ夫といった際のこと。学習漫画コーナーに『ドラエモンと学ぶ●●』のようなシリーズがあって、私が何気なく手に取りながら、「私ドラエモンて漫画もアニメも見たことないんだよね」といった時の夫の顔が忘れられない。
その時感じたのである。あ、人生経験の一つとして必須なのねと。私は必須科目を履修していなかったのねと。

そんなわけで、今こそ大人という立場を利用して、全巻を買いそろえて読破してやろうじゃあないの。
今まで避けてきたわけではないけれど、交わらなかった出会いを存分に楽しんでやろうじゃあないの。
そして、それに対してどう感じたか、どう考えたかを綴っていこうじゃあないの。
そういうわけで、まずは漫画から『ドラエモン』と出会っていきたいと思うのである。

続く







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