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3月21日(日)

嬉しいことがあった。他の人から見れば小ちゃなことかもしれないが、私にとってはすごく、すごく嬉しかったので、残しておきたい。
未来の、落ち込んでいる私のために。

昨晩

次の日早起きをしなければならなかったけれど、2時になっても眠れなかった。脚が変にだるくて、横をむいても、うつ伏せになっても、しっくりこない。イギリスの印税について、ずっと考えていた。
眠れなくて嫌な気持ちになるなら、起きて楽しいことをしようと思って、灯りをつけて書き物をした。
6時前にようやく眠たくなって、このときはすっと眠れた。

今日、午前中:ホットヨガ

なぜ早起きをしなければならなかったかというと、10時半からホットヨガのレッスンを予約していたから。
いつもより大分急いで朝ご飯を食べて(いつもは2時間くらいかかる)、息つく間もなく仕度をして、家を出た。
曇っていたけれど、早足で歩いたから寒くなかった。
今日のレッスンはレベルが中くらいで、貧弱な私にはハード。室内はいつもよりも、むんと暑い。温度が1度上がると活動力が1つ上がる私なので、うきうきする。マットを急いで除菌して、レッスンが始まるまで体側や肩甲骨をほぐす。もう汗ばんでる。うきうきする。
レッスンが始まって、まずは腹式呼吸。
体内が真空になるまで、吐く。おなかがぱんぱんになるまで、吸う。
みぞおちの辺りの筋肉がぎりぎりと音をたてる。
何だか、生きてる、と思って、高揚した。

雨降り

レッスンが終わって、外に出たら、雨が降っていた。本降り。
傘は持ってない。今日の服にフードはついてない。
普段なら迷わずタクシーに乗るけれど、なぜか今日は、歩いて帰ろうと思った。

家まで20分。どんどん髪が濡れていく。顔に張り付く。まつげから雨が滴る。なんの捻りもないけれど、『雨に唄えば』を思い出す。
すれ違う人はみんな傘をさしている。私だけだ、べしょぬれなのは。

自由だ。
と、頭の中で声のような文字のような色のようなものが現れた。
みんないつまでかにどこかに行かなければならないのだろう。待ち合わせか、仕事か、家で子どもが待ってるのか、いろいろ。
でも、私は家に帰るだけ。何時に帰ったっていい。帰ったらゆっくり髪を乾かせる。なんなら乾かさなくったっていい。今日はもう何もないんだから。
だから傘で自分を守らなくていい。濡れたいなら濡れればいいし、飽きたらタクシーに乗っちゃえばいい。

嬉しい嬉しい
いけないことしてるみたい

子どもの頃から今までいろんな人に言われてきた、「~しなさい」「~しないとだめ」「~しないと◯◯になっちゃうよ」。
全部、私に嫌で危険な経験をさせないための、私を護る言葉。
言われたことを守ったら、怒られない、褒められる、いい子って思われるから嫌われない。
いつの間にか勝手に自分を縛って、大人になった今でも「~しなくちゃ怒られる」、そう思い込んでいた。
それは、「嫌われたくない」に繋がっていた。

どんどん雨は強くなる。目も開けられないくらい。
でも、しっかと目を開く。いつもよりゆっくりと歩く。踊るように水たまりを飛び越える。

別に言われた通りにしなくても嫌われないんじゃないか。
濡れない選択肢はたくさんあったけど、私は雨の中、濡れながら歩くことを、立ち止まる度に、また一歩歩き出す度に、自分で選び続けていた。
ひとつ、自由になれた、なった。

とても嬉しい。
世界で一番暇な人みたいだ。
すごく豊かだ。

この時間を終わらせたくなくて、もっともっと、のろのろでぐにゃぐにゃに歩いた。
家にいるママには連絡していない。このことを話す必要もないと思った。

帰宅して鏡を見たら、思ったよりべしょべしょだった。
顔が一番ぐしょぐしょだった。

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