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ぬるい雨

ぬるい雨が降っている

高校は自転車で20分ほどのところにあった。河川敷を通り学校から帰る。

濡れながら友人と帰るのが好きだった。ずぶ濡れで帰った後の暖かいシャワーが好きだった。
今思い返せば、母が呆れた顔で出迎えてくれて、バスタオルを渡してくれることセットで好きだったのかもしれない。

これから先のことなんて考えない。考えなくても帰ったら暖かいご飯が待っている。
どろんこになって帰る小学生みたいに。


高校を卒業してから、雨に打たれることがなくなった。
大学もアルバイトも家の中でできる。予定のない日は、雨が降っていることに気が付かない日だってある。

一人暮らしをして、今年で5年目になる。
濡れて帰ったら、タオル置き場までつま先立ちで歩いて行き、その後は道のりに落ちている水滴を拭かないといけなくなった。

約1年間同棲を経験したので、もう1Kの中2人で暮らす経験は懲り懲りだが
帰った時に電気が付いていて、声を掛けてくれる人がいる生活が懐かしくなった。