怒る権利

最近の変化で大きいのは、
物事に対して、怒りを感じるようになったことだ。

以前は、「怒り」という感情がよくわからなかった。
「わたし、あんまり怒らないんだよね」って思ってた。

けれど、最近、怒りが出てくる。

我ながら、素晴らしい！と思う。

それだけ、自分の感情を、自分の気持ちを、
きちんと感じられるということだから。

アンガーマネジメント、
怒りのコントロールが流行ったけれど、
そもそも怒りを感じずにいたので、
コントロールもなにもない。

それ以前の問題。

それに、怒りを感じないことが問題だなんて、
思っていなかったし。

むしろ、いいことだと思っていたし。

今思うのは、わたしの中に
怒りがなかったわけではなく、
ただ、怒りを閉じ込めていただけだったんだということ。

そして、ここからは自分なりの考察なんだけど、
わたしの場合、自分はダメな子だって思っていたから、
怒りを出せなかったんじゃないかな？と思う。

こんなわたしが、
他人に対して怒るなんて、
おこがましい。

こんなわたしに怒る権利などない。

そんな感じ。

そんな風にはっきりと意識していたわけじゃないけど。
今、怒れるようになって、振り返って見ると、
そういうことだったんじゃないかなと思う。

あとは、波風立てずに平穏に生きるのが
いい子だと思っていたし、
わたしはいい子でいないとダメだと思っていたからね。

それで、
怒りは出さないように、
出さないようにとしているうちに、
出し方を忘れてしまったのかもしれない。

怒りを感じられたのは、
ちょっと苦手な人のおかげだ。

わたしから見ると、
信じられない対応の数々。

それ、ありえなくない？！

それが引き金になって、怒りが出てきた。

けれど、きっかけはその人だけれど、
昔のままのわたしだったら、
同じことをされても、
怒りではなく、悲しい気持ちになっていただろう。

悲しいなぁ。
そんなことされるなんて、悲しいなぁ。

そのベースにあるのは、
わたしはダメな子で、こんなわたしは、
人に対して怒りを感じるような権利はないという気持ち。

不自然だ。あまりにも不自然だ。

今のわたしはそう思うけれど、
かつての自分の中では、
この不自然なルールが成り立っていたのだ。

そのままの自分を受け入れられるようになって、
いろんなことを感じられるようになってきた。
自分が不自然なルールに従って生きてきたこともわかってきた。

それは本当に驚くことばかりで、
どうしてそんなに、現実をねじ曲げてしまえたんだと思うけれど、
わたしは、そのねじ曲がったわたしだけの現実を
本当のことだと信じて生きてきた。

本当は、
わたしはダメな子ではなかったし、
かといって、
特別優れた存在というわけでもなかったけれど。

わたしは「ただのわたし」でしかなかった。

そして、怒る権利を手に入れた。と言っても単純に、自分で自分にこの権利を許していかなっただけなのだけれどね。

わたしだって、怒っていいんだよ。

おかしいと思えばおかしいと言えばいい。
イヤなものは、イヤと言えばいい。
あまりにも酷い思いをしたならば、怒ったっていい。

自分で勝手にねじ曲げた世界ではなく、
そういうシンプルな世界が、現実だったんだ。