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神様、2011

「ああ、俺は先生になりたかったんだ」
自分の中に隠れていた欲望が、突然ひょっこりと顔を出してきた。

いつものように4限の日本文学の授業をぼんやり聞いているとき、何気なく先生の顔に目を移してみたら、ふとそんなことに気づいてしまった。
微かに笑みを浮かべつつ、淡々と作家とその作品について解説をしている彼女が、とても、ほんとうに、羨ましく思えた。

生徒たちと楽しく会話を交わしたい。
朝のホームルームで連絡事項を伝えたい。
部活動を担当して休日を潰したい。
球技大会を日陰でのんびり見ていたい。
なにより、自分の全てと言っても過言ではない英語を、生徒たちに一生をかけて教えたい。

そんな思いがふつふつと湧いてきてしまった。
今更どうすることもできないのに。

授業が終わり、大学を出ると雨が降っていた。
しかし傘をさす気力は起きず、濡れながら歩いて駅に向かった。駅では電車が遅延しており、やっと乗れた車内にはむっとした匂いが広がっていて、がっくりする。どうしようもないので、ユニクロで靴下を一足だけ買って家に帰った。そんな梅雨の1日である。

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