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第2回「怪獣になったゲイ」

皆さんお久しぶりです!

しばらくぶりの投稿になります!
スタッフのあびです。
諸事情があり、前回投稿からだいぶ間が空いてしまいました💦
去る2024年3月23日に、コミタス主催で初開催となるトークイベントを新宿2丁目にあるコミュニティセンターakta(アクタ)にて行いました。
その模様も、後日掲載しますが、その前に!
そのイベント開催までに実施した読書会について振り返りたいと思います。
今回は、2022年4月に行われた第2回コミタス+読書会についてお伝えします!

第2回目の読書会はどんな会だったの?

第2回目は、4/23(土)20:00~22:00で、Zoomを用いての開催になりました。
今回の題材本は、ミナモトカズキ先生の著書、「怪獣になったゲイ」でした。

『怪獣になったゲイ』表紙


スタッフ、そして特別ゲストとして著者のミナモト先生ご本人を含めて行われた第2回目は、全13名の参加となり、今回も濃厚な2時間を皆さんと過ごすことができました。

会の様子。まだコロナ禍真っ盛りで、Zoomでの開催でしたが、非常に盛り上がりました!

本作は、文化庁メディア芸術祭の第25回受賞作品のうち、審査委員会推薦作品の1つに選ばれており(詳しくは前回の記事をご参照ください)、本作の英訳出版が発表されるなど、各方面で話題にあがった作品です!

『怪獣になったゲイ』はこんなお話です…

本作は、進学を機に地元を離れ東京で暮らし始めた安良城(あらしろ)くんが主人公。
安良城くんは担任の黒田先生に密かに思いを寄せていましたが、ある日、黒田先生の「ゲイが生理的に無理」発言をたまたま耳にしてしまい、さらにいじめの渦中にあった安良城くんは、突然顔が怪獣の姿になってしまいます。
図らずも怪獣の姿に変わってしまった安良城くん、担任の黒田先生、そして安良城くんをいじめている成瀬くんの3人をメインに描かれる物語です。

皆さんと本作についてディスカッションを行ったあと、作者であるミナモト先生への質問コーナーを設け、色々お話を伺いました。

ディスカッションでは、以下の2つをメインに皆さんでお話しました。皆さんから挙がった意見と共にご覧ください。

①なぜ、安良城くんがなってしまったのが「怪獣」だったのか?
・(世間一般では)得体のしれないもの、怖いもの☞ゲイ
・彼(安良城くん)自身が別の生き物になりたい☞このままで良いとは思っていない
虐められ、自分の想いを伝えられない苦境にいる中でより強いものになりたい、だから怪獣になったのでは
・笹岡先生が怪獣になったラストが大好き
・いろいろストレスを抱えていてつらい…圧倒的な力の対象として怪獣の形で表現している?暴力的な象徴としてとらえた。どうしようもできないから、無理やりにでも(怪獣に)なったのかも。
力を得て屈服させたい、というのは共感できる
・ミナモト先生の怪獣は怖い、というよりもユーモラス。どんな姿でも愛されたい、愛されたい欲求がある、でも叶わない…単純に恐ろしいものだけじゃないのかな、と感じた。
・ウルトラマンの怪獣には悲しみがある、そんなカンジと似ている。怪獣になること=悲しみが裏打ちされている権化
・ビジュアルとしてぎょっとした。これにはなりたくないって思ったのが生理的に無理ってカンジだった。ノンケがゲイを生理的に無理って感じるのはこういう事かなって再認識できた。ゲイで、怪獣で、二重苦を上手く表現している
・怪獣になる事で、むしろ開き直ってカミングアウトになっている。
・黙っていたらうまくやり過ごせたコト(ゲイだという事)を表現したのがビジュアルとして怪獣だったのかな?と感じた。
・気持ち悪いって思った。
・黒田先生が怪獣になったコトには優しくしてくれるけど、ゲイになったことにはいつまでも抵抗がある印象があった。
・描き方が良い。力を抑えようとしている高校生だ、と感じた。
・安良城くんのちょっとひねくれた部分が怪獣になった?

○ミナモト先生からのコメント
どれも正解。頭の中で思ったことが正解
描いていて気づき始めた部分も多い。意味を持たせないことを考えて作った。
最初は怪獣の見た目もモチーフもなかった。

②本作の中で気になるor印象に残ったキャラクターについて

●りんごをかみ砕くシーン。
Q.いつからリンゴを持っていた?
A.赤いモチーフを使いたかった。かみ砕く要素が欲しかった👈強さを見せたかった。
・黒田先生の存在がすごい、笹岡先生が怪獣になってくれて嬉しかった。
・黒田先生が良いキャラ。ゲイに偏見を持っているけど、悪意で動いているわけじゃない。
👆ミナモト先生のコメント
意図として描いていたものそのもの。100%悪とは思っていないからたちが悪い。その人の言葉で救われてしまう…二律背反…
・黒田先生好き。ナチュラルに無意識にズバズバ言ってくる人いるよな~って思った。ナチュラルに失礼、いるいる~って思いながら読んだ。100%良い人悪い人はいない。品行方正に生きなきゃいけないってこともないリアルではほとんどの人が複雑で多面的な思いを抱えながら生きているから。海外の啓発本では、良い人しか出てこない。他方、この本では登場人物がいて良いと思う。
・黒田先生推し。最後まで空気読めない。黒田先生が怪獣になった原因で黒田先生に救われる話かな、と思ったら、笹岡先生を怪獣にさせて、黒田先生の戒めになったのかな?と思った。斬新な終わり方だなあ、と。

・黒田先生が心を入れ替えるんじゃないか、って思ってた。最後まで黒田先生が変わらないのは良いなと思った。実際そうだと思うから。
👆ミナモト先生のコメント
黒田先生が変わって安良城くんも変わると思った。でも5話くらいから変わらないなって思った。

・(安良城くんが)怪獣になって吹っ切れるシーン。相手を先に攻撃することで自分を守っている。こういう人、いるけど安良城くんは違う
👆ミナモト先生のコメント
この作品の中で一番思い入れの深いシーン。変化があったとき、誰しも攻撃にまわる可能性もあるから。でも、そうならない安良城くんのこと、好き。

・自分自身が学生時代どうだったかな、と思いながら読んでいた。当時はびくびくしていた。心の中で相手を下に見ることで保っていた。自分自身が反映されていると感じた。
・黒田先生☞一番多いキャラ…変えられない部分がある。イラっとするけど憎めない。自分の中にも似たような部分があるから
・(黒田先生を)理解力ないやつだと切り捨てた感じにするかも。
・股間を揉むシーンについて、一番気合いを入れたbyミナモト先生

みなさんからこんな質問が出ました!

Q.同人誌として何巻も続けて完結させたモチベーションはなんだったのか?

A.完走できた自分を褒めたい。登場人物みんなが良いキャラではない。吐き出す感じで描いた。1話を出したところで2話も作りたい…という気持ちで。ダントツで売れなかった本だった。20人くらいにとってもらうのがやっとだった。完結させないと次のものが描けない、と思い、意地で描いていた。自分の中でも1,2位を争う作品。パッションがすごい。
「いつまでやるのか?」と言われたこともあった。自分が信じた作品を描き続けて良かった、と思う。

Q.安良城くんは沖縄出身?

A.遠くからやってきたことに意味を持たせた。
 人生の中で、周りが急に変わっていってしまう変化☞遠くから来た

Q.作中、昔ほどの差別的なカンジは見受けられないけど、時代設定は?

A.今よりも少し前。根本的な所って変わっているかな?今も。
 なんとなく今もこんなところあるよな、というのは感じる。

Q.今回の受賞の連絡はどういうふうに来た?

A.LINEで来た。ラフなカンジで。

Q.本作がミナモト先生の作品に触れる初めての機会。どの作品がおススメ?

A.「三十路ゲイ」は、人生の自己否定の最頂点にいたような時期に描いたもの+「メルヘン課長」もおすすめbyファンの方々

Q.トランスセクシャルという言葉が用いられていたが、言葉の用法は?

ミナモト先生:色々調べた。用語の使用については、色々難しい部分もある。

第2回読書会を終えて…

第2回目も無事に終えることができ良かったです。
参加者の皆さんの、ミナモト作品への愛が伝わる2時間でした。
私自身、ミナモト先生の作品は以前少しずつSNSなどでお目にかかる機会がありましたが、著書をちゃんと読むのは「怪獣になったゲイ」が初めてでした。皆さんと本作について語り合い、本作を色んな方向から捉え感じたのは、主人公や、その周囲の人たちの「リアルな人間臭さ」というものが良い意味でしっかり本作で描かれている、ということです。私たちが日頃思っている感覚に近い内容だからこそ、主人公の安良城くんをはじめ、登場人物たちに共感できる読者が多いのではないか、と思いました。

参加者の皆様、そして、お忙しい所本会にご参加くださりました、ミナモトカズキ先生、本当にありがとうございました!

次回の投稿は、コロナ禍が落ち着いて初めてのリアル開催となった、第3回目の模様をお伝えいたします!
お楽しみに♪


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