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2024年10号【別館】

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今週の表紙:押韻島出身のアーティスト達による
オムニバス作品「寿司を2貫も!?」シリーズより
押韻島猟民/それピザですよpt.1

モリモリマッスル


《マニア絶頂》SIXの魅せフロー3撰(中編)

先週号に引き続き、押韻島の主祭神SIXがそのフローによってリスナーを魅せた名場面を振り返る。

②八マイルは遠すぎる〜サンプリングで活きるフロー〜

“録音嫌い”と並ぶSIXのよく知られたギミックに“エミネムへのライバル意識”がある。
HIPHOPミュージックの分野において驚くべき実績と知名度を誇り、そのスキルを誰もが認めるリビングレジェンドにして史上最も売れたラッパーどころかアーティストランキングに名を連ねる男、エミネム。SIXはそんなエミネムに対して、キャリアを通してライミングの分野で張り合う活動を続けてきた。ほとんどの読者がご存知の通りエミネムのライミングは正しく神がかっているが、それはそれとしてSIXはライミングの神なので、張り合っている訳である。
活動内容は主に制作(エミネムに張り合うライミングを盛り込んだ楽曲等を制作)と送付(任意の方法で公開した作品をSNSを通じてエミネムに送付)を通じて行われ、送付行為を繰り返した結果外国人から大量のDMが送られるようになり、これが一時的なアカウント削除にまで至るSNS疲れの原因の一端であったとも言われている。
そんな修羅道の過程で産み落とされた対エミネム特攻兵器とも言える怪作が、今回ご紹介する魅せフローを備えたこちら。

エミネム本人が出演しスターの地位を確固たるものにする世界的大ヒットを飛ばした半自伝映画のタイトルであり、エミネムの代名詞とも言えるワード『8 Mile』と、アメリカの推理小説作家ハリイ・ケメルマンが手がけた安楽椅子探偵モノの金字塔『九マイルは遠すぎる』の掛詞を銘に提げる本作は、『8 Mile』の主題歌にして2002年度アカデミー歌曲賞受賞曲『Lose Yourself』のトラックを使用した、いわゆるREMIX、もしくはビートジャックと呼ばれる形態が採用されている。無断使用であったことが災いしてか、SoundCloudで公開した際は1分で削除の憂き目に遭っている。
『Lose Yourself』は世界で最も有名なHIPHOPトラックの一つであり、直向きに響くサウンドにエミネムの並々ならぬハングリー精神と情熱が脈動するパンチライン、そして伝説的なライミングが詰め込まれた掛け値ナシの超傑作である。そこへオリジナルのラップを乗せるとなるとライミングだけでなく音楽的な面でも大いなる挑戦となるが、SIXはビートジャックにあたってエミネムへの敬意と、その上での対抗心を燃やし、フローにおいても仕掛けを凝らしている。
最大の特徴はフローのサンプリング。余りに有名なイントロの語りを日本語の文章で丸ごと踏むとかいう離れ業でリスナーの度肝を抜く冒頭から、特に2verse目で顕著な、原曲のフローを踏襲しつつ俺ならこう踏める、もっと踏めると主張せんばかりにリリックを紡いでいくパートは必聴。単にリスペクトが故のサンプリングというだけでなく、Rap Godたるエミネム超えの高みを目指して積み上げていくライムを叩きつけるようにフローを重ねる様は、ボースティングに通ずる押韻強者としての矜持の裏にある種の泥臭さを感じさせ、グッとくるポイント。作品のクオリティを支える拘りが貫かれているという点で、文句無く魅せフローと評せるだろう。
加えて、後半に控える【エイトマイル】弩級のアナグラムなど、全編に渡ってエミネムへの愛とバチバチのライバル意識がみっしり詰め込まれたラブレター。エミネム以外を音楽と認めない熱心なファンやマーシャル本人にも是非お勧めしたい。

豆知識

押韻島メンバーによる『Lose Yourself』のトラックを使用した作品は『八マイルは遠すぎる』以外にも存在するが、mic checkerz(M.C.Z)の手になるものは、聴かなくてもよい。

また来週…

週刊公民館別館10号発刊記念 今週の表紙:セレクションギャラリー

2号より。カメラマン的には下部の夕焼けっぷりが
気に入っていたらしいが、表紙ではサイズの関係で
載せられなかった。
3号より。像は青銅製とされているが、
常時ちょっとだけヌルついている。
11号より。押韻島近海にはエビ、カニ、
タコ、イカ、SIX、クラゲなど、
足(触手)の多い生き物が広範囲にわたって生息している。
5号より。掲載後、滝の裏側に映っているものについて
複数の問い合わせがあった。

こんな画像は知らない

次号予告

どうも、プラスドライバーです
プラスってなんかいいよね
プラスってかんじ
人生プラスにこじ開けていきましょう

次回の週刊公民館別館は 第11号
お楽しみに

(ナレーション 徳川夢声)

編集後記

おなかへった!
ラップしたさが割とあるのでこっち手抜いてラップしたいんですけどなんだかんだこっちも結構しちゃってアレというか。ネタ無いなら無いでスパッと休む勇気が必要ですな。というか結局こっちもラップもせずに描きたいなと思ってるイラストなんかもほっぽってぼーっとしてる時間が多い。枯れてる。欲が枯れてる。汁気が失われてる。前のめりな汁気が。もう大概そういうしょうもない人生の潰し方なんだろうなーとへらへらするのも慣れてきたけどもうちょっと頑張れるだろ俺

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