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某社の既製品を紐解く②

お気に入りの既製品セーターを再現しています。

今回は、再現するためにどのようにパターンを起こしたかというお話です。


前回はセーターの各パーツを採寸して大まかな図にしました。

これを元に、自分サイズの原型に合わせて編み図の元を作ります。

こういうセーターを編む場合、前後の身頃を別々に製図するのが一般的ですが、
(こんなふうに↓)

今回のデザインは身頃のアームホールの部分に少し斜線があって、前後を別々に製図すると斜線の角度が変わって編み方が複雑になってしまうので、シンプルな編み方にするために〈接続原型〉という前後を一緒に製図する方法を選んでみました。

製図の書き方はいろいろあるのですが、私は1/4の縮図で書いています。

点線で書いた部分が私の原型(ほぼMサイズです)
前後の身頃が合体しています。

まず腕の可動域を広げるためにショルダーポイントを1,5cm上げて(ピンクのマーカー)袖山のラインを引きました。

次に、すでに数値が決まっているネックの開き12cmと肩の幅13,5cmを書き入れました(ブルーのマーカー)


そして、後身頃のネックラインを少しカーブするように設定。

着丈50cmと身幅48cmの半分の24cm。

こんな順番で書いていきました。

こうして出来上がったのがこの縮図です。

縮図のままでは数値の誤差が大きいので、実物大の製図に起こします。

実物大で実際の数値を確認したら編み図を作ります。

この段階では、トレーシングペーパーに写してから割り出しをしていますが、編んでいる間に修正を入れる場所が出てくることが多いので、完成というわけではありません。

個人のデザイナーさんが販売しているパターンは、こんな過程を経てPCで清書するなどしています。
その前には、試し編みやパターンの工夫などを繰り返して作品を作っています。
ガーディガン一枚のパターンが1,000円くらいするのは、こんな手間がかかっているからです。

パターン作りの話が長くなってしまいました。

次回はいよいよ編んでいきます。
このセーターはすべてメリヤス編みだからサクサク進みます。

ちなみに、編み物の製図に興味がある方にはこんな本もあります。

私のバイブルのひとつです

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